いま、あなたはどんな気持ちでこの本を手にしているでしょうか。
子育ても終わりに近づいて、新しい人生を再スタートさせようとしているかもしれませんし、退屈な毎日の中で、このままじゃいけないと思いながら、何もできないでいる自分に活を入れたいと考えたのかもしれません。
女性の50代は、更年期が始まって、体調が大きく変化するときです。そのために、気持ちも、ちょっとしたことで高揚したり、落ち込みやすくなったり、ということもあるでしょう。
また、仕事をもっている人は、職場での位置も安定して、男性以上にバリバリ働いている人も少なくありません。
家庭をもっている人は、子どもも大きくなって、少し時間の余裕ができた頃でもあります。
環境や立場は違っても、50代の女性たち、あるいは、50代の自分を考えはじめた女性たちに、少し先を生きた私がお伝えしたいのは、「人生はこれからだ」ということです。
20代、30代の頃には、自分のためというより、人のために人生を費やしていたのではないでしょうか。「人生」という言葉が大げさならば、それを「時間」に置き換えてもいいでしょう。
親のため、会社のため、夫のため、家族のために、自分のことは二の次になっていたのではありませんか。
自分のやりたいことがあっても、親や夫に止められたり、あるいは世間体などを気にして、あきらめてきたのではないでしょうか。
でも、そろそろ、自分のための人生を歩きはじめるときです。
近頃よく聞く言葉に「ミッション」というものがあります。たとえば──
「あなたはどういうミッションをもって生まれてきたのか、それを知ることが大事なのよ」
このミッションとは「使命、任務」というほどの意味ですが、毎日をただ漠然と過ごしている人には、とても新鮮ですし、耳の痛いところもあります。
自分のための人生を歩きはじめる、といっても、もしかするとどう歩いていいのか、わからない人もいるかもしれません。
そのときは、このミッションという言葉を思い起こしてみましょう。自分のために、何をすればいいのか?
一番わかりやすい方法は、小さい頃、あるいは10代の頃やりたかったことを思い出すといいでしょう。親のため、家計のために断念した夢はありませんでしたか?
もしかすると、それがあなたのミッションだったかもしれません。もちろん50代という年齢では、難しいこともあるでしょう。でもいまからフラワーショップをもつことはムリでも、花を育てることはできますし、フラワーアレンジメントもできるはずです。
これはささやかな例ですが、50代には、何が起こるかわかりません。この世代は可能性を秘めています。何もしなければ、何も起こりません。
しかし行動を起こしていれば、誰かがそれを見ています。かりに使命感をもって、それをやっていたら、誰かの目にそれが止まるかもしれません。
「50代を後悔しない生き方」というのは、いま、それを始めることです。
ひと昔前まで、40代、50代の女性のイメージといえば、「お母さん」か「オバサン」でした。いまは、「大学生の娘がいます」という人でも、その人自身が大学生のように若く見えることも少なくありません。
その意味では、あなたの未来には、すばらしい可能性があります。
その可能性をぜひ広げていってほしい。その願いをこめて、私はこれから、「女性が50代を後悔しない生き方」について、いろいろに提案していきたいと思います。
人の運命はそれぞれです。
決まっていることもあるし、変えられることもあります。
あなたのこれからの人生の選択に、なにかヒントになることが見つけていただけたら、著者として、これほど嬉しいことはありません。
櫻 井 秀 勲