いろんな方法があるけれど、どんなファイリングシステムも、一長一短だった……。
●──関連したファイルはすぐ見つかる
この本を手にした人は、きっとさまざまな整理を試みたけれど、いずれの方法でも満足できず、もっと良い方法がないか模索している人だと思う。そこで、いままで皆さんが採用してきた整理方法を比較検討しながら、理想的な整理法を考えていこう。
誰もが最初に試みるのは、図書館式系統別に分類する整理法である。少ない資料を整理する場合は、この方法で充分だ。
系統的に並んでいるので、関連したファイルがすぐ横にある。仕事をしているときに、関連した資料を一度にたくさん出せるので、すこぶる便利である。
たとえば、医学では学問そのものが体系化されている。診断学、治療学は、臓器別に体系化されているので、私も最初はこの整理法で行なっていた。
図書館式の長所をまとめてみよう。
①扱う資料が系統的に分けられる仕事で、関連した資料をすぐ隣に置いておきたい場合に適している。関連したファイルを隣に並べられるため、関連したファイルを一度に取り出せるし、仕事が終わったら一度に戻せる。
②多くの人が共有して資料を扱い、膨大な資料を保管する場合に適している。図書館のような公共施設での理想的な管理方法である。
●──分類不能なファイルが迷子になる
ところが、この図書館式整理法では、資料が増えてくると、いくつかの分野にまたがる「分類不能ファイル」に悩まされる。無理矢理に分類すると、行方不明になる「迷子ファイル」が続出するのだ。速やかな検索をするためには、パソコンでの検索が必要となる。
個人の場合、これでは手間がかかって仕方ない。
図書館で、専門の人が整理して検索を行なう場合では理想的な分類法だが、パソコンへのデータ入力などの多大な労力を必要とするため、個人で行なうには問題があるのだ。
この方法では、分類しにくい資料が続出して、未整理の山がすぐできてしまう。私も、最初はこの方法で分類整理していたが、未整理の山で苦労した。
図書館式の短所をまとめてみよう。
①いくつかの分野にまたがる「分類不能ファイル」に悩まされる。
②無理矢理に分類すると「迷子ファイル」ができやすく、検索不可能な場合がたびたび起きる。
③検索を完全にするためには、パソコンへのデータ入力が必要となる。個人レベルでは、労力がかかりすぎて長続きしない。