『天皇と日本国憲法(毎日新聞出版) 反戦と抵抗のための文化論』
[著]なかにし礼
[発行]PHP研究所
今回の日本野球機構(以下、NPBと略す)のスキャンダルは不祥事を通り越してほとんど犯罪である。なぜ犯罪とまで言うか? アメリカなら選手会が、労働条件の無断改悪とその隠蔽という罪状でコミッショナーとNPBを刑事告訴するであろうし、結果は「有罪」そして莫大な損害賠償を請求するであろうからだ。コミッショナー本人が知っていたとすれば、犯罪の教唆もしくは主犯であり、知らなかったとすれば、職務怠慢であり、管理責任者として主犯を徹底追及しなければならない。もしそれができなければ同罪である。概して日本はそういう事態にならない。日本人はおとなしいのか、長いものに巻かれろ精神なのか、惻隠の情にあついのか、無知なのか、懲りない性分なのか、とにかく白黒つけることを嫌う。