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(2021/11/26 追記)

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「損」を恐れるから失敗する
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第七章 「損をしたくない」心理の判断エラーを防ぐ奥の手

『「損」を恐れるから失敗する』
[著]和田秀樹 [発行]PHP研究所


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日本の政策はニュースで動いている?



 日本の政策は、ニュースをきっかけにした世論によって動かされることが少なくありません。


 たとえば、飲酒による交通事故で、子供が何人も死亡する重大事故が起こると、「飲酒運転を厳罰化すべき」という世論が高まります。


 高齢者による交通死亡事故が報道されると、「高齢者の免許返上を促すべき」という世論が高まります。こうした世論を受けて、厳罰化、規制の方向に政策が進んでいきます。


 厳罰化、規制が必要な場合もありますが、事故が増えているという客観的なデータに基づいた審議が行われず、「亡くなった人たちがかわいそうだ」という感情論が大勢を占めて政策が決められてしまう場合があります。


 地方によっては、車しか交通手段がなく、飲酒運転の厳罰化で大きな影響を受けている人もいます。街中から少し離れたところにある飲食店は、夜に店を開いても誰も来なくなり、どんどん消えていっています。ですから厳罰化するにしても、全国一律の厳罰化が必要かどうかは、十分に議論をする必要があります。


 ちなみにアメリカでは、地域によっては飲酒運転を実質的に容認しているところがあります。カリフォルニア州のナパバレーは、ワインの産地として有名です。ナパバレーは八〇キロも道が続いていますが、ドライバーたちは、ワインのテイスティングをしながら車を運転していきます。


 みんなが飲酒運転をしていますが、放任されているのです。「ナパの文化を守るほうが重要だ」と考えて、飲酒運転の取り締まりをしていません。


 アメリカは、保安官も選挙で選ばれる国であり、地方のことは地方の住民が決めています。


 飲酒運転を厳罰化している地域もあります。その後、法律が変わったかもしれませんが、ジュリアーニ市長のころは、ニューヨークのマンハッタン島の中では飲酒運転が見つかると車を没収されました。


感情に流されない欧米人



 アメリカでも、交通事故が起こると感情論は出てきますが、それを抑制する冷静な意見も出てきます。


 二〇〇九年ごろから、アメリカ国内でトヨタの自動車に乗っていた人が死亡する事故がありました。トヨタの電子制御システムの欠陥によって自動車が急加速したことが原因だとして大問題になり、感情論が巻き起こりました。


 トヨタ自動車の豊田章男社長が、アメリカ議会の公聴会に呼ばれて厳しい追及を受ける事態にまで発展しました。アメリカ世論は「トヨタ・バッシング」のような状態になりました。


 しかし、トヨタの自動車工場がある地域の人たちは違いました。自動車工場のある四州の州知事が連名で、トヨタは批判報道の被害者であるという書簡を議会に送っています。感情論に流されず、別の側面から見る人たちが意見を主張します。


 その後の詳細な調査で、トヨタ車の電子制御システムに欠陥はなかったことが明らかになっています。


 アメリカでも感情論は巻き起こりますが、「人間は感情によって動かされる」という特性をよく知っている人が多いため、感情に動かされないように抑制する動きが出てきます。


 フィンランドは、アメリカと並んで、銃が合法化されている国です。フィンランドでは子供による銃の乱射事件がときどき起こっています。フィンランド国民も感情的になって「何とかしなければいけない」という意見がたくさん出てきます。


 しかし、それによって教育政策を変えることはしません。彼らにとっては、学力調査で世界一であることは非常に重要なことです。それはフィンランドの教育政策がうまくいっていることの(あかし)です。


 子供が銃によって凶悪事件を起こしても、例外的な事件を見て子供がおかしくなっているなどと論じて、教育政策に影響を及ぼすことはありません。


 日本の場合は、受験をきっかけに子供が自殺したりすると、「受験競争が悪い」「教育政策が悪い」という感情論がすぐに起こって政策変更がされやすくなります。


 他方、欧米では「感情で決めてしまってはいけない」と主張する人たちがブレーキをかけます。

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