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なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか
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歴史
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まえがき

『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』
[著]日高義樹 [発行]PHP研究所


読了目安時間:3分
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 日本の人々が、半世紀以上にわたって広島と長崎で毎年、「二度と原爆の(あやま)ちは犯しません」と、祈りを捧げている間に世界では、核兵器を持つ国が増えつづけている。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に加えて、イスラエル、パキスタン、インドの三カ国がすでに核兵器を持ち、北朝鮮とイランが核兵器保有国家の仲間入りをしようとしている。

 日本周辺の国々では核兵器だけでなく、原子力発電所も大幅に増設されようとしている。中国は原子力発電所を一〇〇近く建設する計画をすでにつくりあげた。韓国、台湾、ベトナムも原子力発電所を増設しようとしているが、「核兵器をつくることも考えている」とアメリカの専門家は見ている。

 このように核をめぐる世界情勢が大きく変わっているなかで日本だけは、平和憲法を維持し核兵器を持たないと決め、民主党政権は原子力発電もやめようとしている。

 核兵器を含めて武力を持たず平和主義を標榜する日本の姿勢は、第二次大戦後、アメリカの強大な力のもとでアジアが安定していた時代には、世界の国々から認められてきた。だがアメリカがこれまでの絶対的な力を失い、中国をはじめ各国が核兵器を保有し、独自の軍事力を持ちはじめるや、日本だけが大きな流れのなかに取り残された孤島になっている。

 ハドソン研究所で日本の平和憲法第九条が話題になったときに、ワシントン代表だったトーマス・デュースターバーグ博士が「日本の平和憲法はどういう規定になっているのか」と私に尋ねた。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」

 私がこう憲法第九条を読み上げると、全員が顔を見合わせて黙ってしまった。一息おいてデュースターバーグ博士が、こう言った。
「おやおや、それでは日本は国家ではないということだ」

 これは非公式な場の会話だが、客観的に見ればこれこそ日本が、戦後の半世紀以上にわたって自らとってきた立場なのである。

 このところ日本に帰ると、若い人々が口々に「理由のはっきりしない閉塞感に苛立っている」と私に言う。私には彼らの苛立ちが、日本が他の国々とあまりに違っているので、日本が果たして国家なのか確信が持てないことから来ているように思われる。世界的な経済学者が集まる会議でも、日本が取り上げられることはめったにない。日本は世界の国々から無視されることが多くなっている。

 日本はなぜこのような国になってしまったのか。なぜ世界から孤立しているのか。このような状況から抜け出すためには、どうするべきか。
「初心に帰れ」とは、よく言われる言葉である。したがって、六十余年前、日本に落とされた原爆の問題から始めなければならないと私は思う。これまで日本の人々は「原爆のことなど考えたくもない」と思ってきた。日本に対して、なぜ、どのような経緯で、人類が初めてつくった核兵器が投下されたのかを、考えることなく生きつづけてきた。

 日本はいまや原点に立ち戻り、国家と戦争、そして核について考えるべきときに来ている。日本が変わるには、考えたくないことでも考えなければならない。そうしなければ新しいことを始められない。

 私はこの本を書くにあたって、アメリカは何を考えて大量殺戮兵器である原爆を製造したのか、なぜ日本に原爆を投下したのか、歴史に前例のない無慈悲な仕打ちはどのように日本に加えられたのか、当時の記録に詳しく当たってみた。

 原点に戻って、日本の人々に「考えたくないこと」を考えてもらうためである。
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