『続・人間の研究 誰でも楽しく生きられる』
[著]船井幸雄
[発行]PHP研究所
一九九一年に発刊されました本書が、今度新たに文庫版としてもお目見えすることになりました。
原稿を書きましてから五年もたっていますので全部読んでみました。
うれしいことに、そのままでいまもほとんど通用する内容です。ただ少し付加したりカットした方がよいことがありますので、文庫版では、多少ですが補筆や削除などをしました。一九九六年向きに変えました。その点、御了承ください。
私自身は、この五年間に大きく変わりました。
最近の私の考え方は、今年七月にPHP研究所から発刊されます『エヴァへの道』に詳しく述べています。
本書とあわせてお読みいただきますと、幸せです。
世の中も、ここ五年間で大きく変わりました。
本書内で書いていますことは、書きました九一年時点では、あまり注目されませんでしたが、いまでは多くの人が注目し、理解してくれるようになりました。
それになによりも九一年で本書で述べたように世の中が変わってきました。予告したことの九〇%ぐらいが当たり、実現の方向へ進んでいるように思います。
私はいま、まちがいなく世の中は「エゴからエヴァへ」向けて変わりつつあるのを実感しています。
いま、世の中では、エゴの時代の「さいごのあがき」がはじまっています。それとともに、エヴァの時代に向けての大きな動きがうねっています。
エゴの時代というのは、人々が「一番大事なのは自分(の肉体)である」……と考えて行動していた時代です。
そこでは、人々の生きる目的は、所有欲、金銭欲、名誉欲、権力欲、肉体の快楽の追求欲などを満たすためでした。
そのために、人の足を引っぱることも、競争することも環境を破壊することも、人々は平気だったのです。
しかし、これでは人類が亡びます。地球もますます病みます。
いま、エヴァの時代へ向け大きく方向が転換されました。多くの人が気づきつつあります。
愛、調和、共生、互助などの動きが急速に出てきました。
このような時に、本書が文庫版として多くの人に読まれるのは、著者としては、実にうれしいことです。
私が時流の変化を、はっきり訴え出したのは一九九〇年に書きました『船井幸雄の人間の研究』あたりからです。本書は、その続編でもありますが、私が世の中の変化の予兆に確信を持ち出した時に書いた本として、お読みいただければよりありがたいと思います。
いまは大変化期、むつかしい時代ですが、読者が上手に時流をつかまれ、すばらしい未来への一歩をふみ出されることを期待し、お願いをし、文庫版の「まえがき」のペンをおきたいと思います。
一九九六年六月八日
東京・高輪の自宅書斎で
船井幸雄