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天皇と太平洋戦争 開戦の真相から終戦の決意まで
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歴史
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第三章 マレー作戦の論争点と決断

『天皇と太平洋戦争 開戦の真相から終戦の決意まで』
[著]土門周平 [発行]PHP研究所


読了目安時間:12分
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 前章で扱った真珠湾攻撃が、日本海軍最大の関心事であったことに対して、帝国陸軍最大の関心事は、マレー上陸作戦であった。


 (ひるがえ)って根本的に考えれば、陸海軍の軍事行動を総合し、経済、外交面からの動きも洞察し、戦争目的を達成するための戦争計画が作成されていなければならないはずである。


 ところが太平洋戦争に関するかぎり、そのような総合的な戦争計画、あるいは戦争指導計画といったものは存在しない。かろうじて、そのような性格の文書といわれているものがあり、昭和十六年(一九四一)十一月十五日に大本営政府連絡会議で承認をうけている。


 起案者は陸軍省軍務局軍務課の(いし)()(あき)()大佐であるが、その回想によれば、陸海軍それぞれの個々の作戦計画が完成に近い段階で、戦争指導計画らしいものがないのもおかしいので、とりあえず形だけをととのえたもので、内容はおそまつなものだ、とある。

戦争終末促進に関する腹案」と題するその文書は、「方針一、速かに極東に於ける米英蘭の根拠を覆滅して、自存自衛を確立すると共に更に積極的措置に依り政権の屈伏を促進し、独伊と提携してまず英の屈伏を図り、米の継戦意志を喪失せしむるに勉む」を基本とし、要領七項目からなるものである。


 その要領の重点部分を摘記すると、次のとおりである。


 日本は、戦争の終結を、米国の継戦意志の喪失に求める。ただ、その継戦意志の喪失は、米海軍主力を誘致して撃滅し、それが契機で米国が戦意を放棄するような有利な場合を除いて、日本は米国に対し直接的な屈伏手段を加えることはできない。そこで次のような「間接的方策」により、米側の手を引かせる。


一、日本が自存自衛を確立し、長期不敗の実をあげる。

二、積極的措置により、政権の屈伏を促進する。

三、独伊と提携し、英国の屈伏を図る。



 この三つの要件のうち、第一の長期不敗については、いちおうその確算ありとし、戦争終末促進上もっとも重視したのは、第三の英国の屈伏であった。


 この考え方が、どんなに甘いものであるか、結果を知っている読者は、むしろ唖然とされるのではないかと思う。だが石井回想によれば、十六年十一月の押しせまった段階で、東条首相から「戦争の終結をどうするか」の研究を命ぜられたが、この程度のことしかできなかったという。

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