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日本人の底力 世界は「わが民族の叡智」を求めている
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序章 二十一世紀の近未来を洞察する

『日本人の底力 世界は「わが民族の叡智」を求めている』
[著]北尾吉孝 [発行]PHP研究所


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エマージングカントリーの躍進



 二十一世紀に入り、社会の閉塞感が高まり、頽廃(たいはい)堕落の度合いが増していると思っている日本人は少なくないのではないでしょうか。少し前にセミナーでこの質問をしたところ、「頽廃堕落している」と答えた人は、全体の三分の二以上いました。実は私自身、そう思っています。

 そこで私はまず二十一世紀に入ってから起きた事象を振り返り、近未来を洞察してみたいと思います。その観点から最初に二十世紀と二十一世紀というものの分岐点ということで述べますと、二〇〇八年九月以前から二十一世紀という時代はすでに動き出していたわけですが、それを徹底的に分けることになった二十一世紀の象徴的出来事こそが「リーマンショック」であると、私は認識しています。

 現在、世界が直面している諸々の問題の根底には常に「リーマンショック」によって想起せられた根本的問題があり、二十一世紀という社会があのリーマンショック以後にどう変貌を遂げたのかについて今こそ考えてみるべきだと思っているのです。

 では具体的には何か。リーマンショック以後における一番大きな変化と考えられるのは、やはり米国の政治・経済・軍事に対する力が著しく低下し、その結果としてドルの信認が失われ、そしてある意味、ドルを基軸通貨とするパックス・アメリカーナの終焉に向けた序章の始まりと定義されるようなことが起こっているということです。

 そして、米国の凋落と裏腹にあるのがエマージングカントリー(新興国諸国。以下、エマージング)の躍進ということで、中国を筆頭として相対的にそのような国の興隆が促されていくわけです。

 それ故、世界はG8からG20へと多極化してきたわけで、そのような意味では言い方を変えれば、米国一極集中という時代はすでに終焉を迎えたということです。したがって、今後はますますエマージング、とりわけBRICsと呼ばれる国々の力というものがグローバルに見ても相対的に強くなってくるという趨勢があるように思いますが、それこそが二〇一〇年に見えた一つの際立った特徴であったと私は認識しています。

中国の将来像



 中国は「リーマンショック」後、四兆元(約五〇兆円)の内需刺激策等のさまざまな施策を矢継ぎ早に打ち出し、内需拡大に力を入れるなどして高成長を維持している中で(二〇〇八年:九・六%、二〇〇九年:九・一%、二〇一〇年予測:一〇・五%、二〇一一年予測:九・六%)、ますます自信を深め世界におけるプレゼンスを向上させています。

 中国の経済発展の歴史は小平が一九七八、七九年に改革開放路線を打ち出したときに始まります。今日までの三十年間、二〇〇八年までで見ますと、中国のGDP成長率は年平均一〇%程度を示し、そして一人当たりの国民所得は実に一二倍という驚異的な成長を遂げました。まさに小平という男が行なった、毛沢東時代と懸隔した一つの政策が、上述したような偉大な結果を生んだということです。まさに、「一国は一人(いちにん)を以て(おこ)り、一人を以て(ほろ)ぶ」という蘇老泉の言葉を思い出しました。

 その結果中国は日本を抜き、世界第二位の経済大国になったわけですが、ではこれから中国は国内主要政策として何をしていくのかと言えば、それは農村部の都市化であろうと思われます。いわゆる農村人口というものを捉えるべく総人口に対する都市人口の割合というのを見ますと、一九〇〇年当時中国では大体二五%であったと言われています。それが今やおよそ四五%となり、そしてこの新しい都市化に向けた革命を終える二〇三〇年には恐らく七〇%を超えてくるであろうと推測されています。この推測が当たるとすると、この頃には中国のGDPは米国を超え世界一になっているでしょう。

 現在、中国の都市部と農村部の所得格差は三・五倍以上(医療保障や教育機会を考慮すれば六倍以上という説もある)あると言われていますが、この農村部の都市化を推し進めることによって格差をなくし、そして社会不安に繋がるリスクというものを大幅に減少させることこそが、中国の今後最大のテーマであると私は考えています。

 中国は前記したように、世界的な金融危機の影響を未然に防ぐべく、内陸部分に重きを置いた内需拡大のために、四兆元という金を使ったわけですが、今後もこの都市化に向けた流れの中でその規模以上のものを使っていくであろうというように思われています。
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