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ヅラが彼女にバレたとき
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ルポ・エッセイ
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第5章 ヅラッド・ピット、師匠に弟子入り

『ヅラが彼女にバレたとき』
[著]藤田サトシ [発行]すばる舎


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 唐突な話で恐縮だが……私はこの目で「狼」を見たことがある。

 あるお見合いパーティで、狼が不敵な表情で獲物を狙っているのを目撃したのだ。その男こそが、後に、私に多大な影響をもたらす「師匠」、そのヒトだったのである。


 ここは、男女合わせ100人ほどが参加している公的機関のお見合いパーティ会場。

 会場内に足を踏み入れ、恐る恐るあたりを見回してみると、誰もが一様に「沈香(じんこう)も焚かず屁もひらず」(平々凡々)といった面持ちで、大人しくパーティの開始を待っていた。

 出席者は皆、恥を忍んでやってきたように見える。


 が……。

 ひとりだけ明らかに異質な存在が私の目に止まった。

(むむ! タダ者ではないな)


 芸能人でいうならば、外見は「Y岡R也」。骨太で胸板が厚く、短めの髪にはパーマがかけられている。日本人離れした彫りの深い顔立ちで、目も鼻も大きい。押し出しがきいて、気軽に声をかけられる雰囲気ではない。そんなオトコが周囲を睥睨(へいげい)しつつ、椅子に深々と腰かけている。


 おそらく、このパーティの出席者は皆、伴侶を自分で見つけることができないために(わら)をも掴む思いでやって来たのだと思う。当然、誰もが不安な顔つきをしている……。


 ところが、このオトコだけは「女に一度も不自由したことがない」といった不敵な表情を浮かべており、明らかに場違いだ。おとなしい羊の集団の中に羊の皮を被った狼がじっと身を潜めているようにも見える。何くわぬ顔で羊の群れに身を潜め、美味しい獲物が目の前に出現してくるのを待っているのだ。

「きっとこの男は何かしでかすに違いない」


 私は彼をマークすることにした。

 パーティが始まった。

 が、狼はまだ動かない。

 開始時間を過ぎても、遅刻した参加者が少しずつ到着し、場内の人数は除々に増えていく。参加しているオトコたちは皆、押しなべて地味で垢抜(あかぬ)けないいでたちだ。
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