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「科学の謎」未解決事件簿 人体、テクノロジーからスポーツ、生物まで
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雑学
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第3章 「地球・宇宙」の真実に挑んだ科学の最前線 EARTH/SPACE

『「科学の謎」未解決事件簿 人体、テクノロジーからスポーツ、生物まで』
[著]日本博学倶楽部 [発行]PHP研究所


読了目安時間:28分
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 クライメートゲート事件が巻き起こした

 温暖化懐疑論を検証する

 

 

 ▼地球温暖化に警鐘を鳴らすIPCCの報告書の中身

 

 地球は今、温暖化が進んでおり危機的状況にあると指摘されているが、あまり実感をもてない人も多いだろう。実際どれぐらい危機的な状況なのだろうか。

 その答えを教えてくれるのが「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」だ。この組織は、最新の科学的知見をもとに温暖化の予測、影響、対策などを評価するために世界気象機関と国連環境計画が一九八八年に設立した組織だ。世界中の専門家が参加して研究を進めており、どんな研究機関よりも信頼度は高い。このIPCCが約五年ごとに発表する報告書は、地球温暖化論のバイブルとして、各国の温暖化対策にも大いに役立っているのである。

 では、実際に二〇〇七年にIPCCが公表した三〇〇〇ページにも及ぶ報告書を(ひもと)いてみよう。ここ百年で気温が急上昇したことを示すグラフが示されており、温暖化の主犯は人為的な温室効果ガスだと断定している。このままいけば、ヒマラヤの氷河は二〇三五年までにはみな溶けてしまい、アフリカの農業生産は二〇二〇年までに半減、アマゾンの熱帯雨林は四〇パーセント以上が危機に(ひん)すると予測している。

 また、オランダにいたっては、南極や北極圏の氷が溶けだしたことで海面が上昇した結果、すでに五五パーセントが海抜ゼロメートル以下になったという。その詳細な報告は地球に大いに警鐘(けいしよう)を鳴らすものであり、IPCCはこの実績が認められ同年ノーベル平和賞を受賞した。


 ▼温暖化懐疑派が攻勢に転じたある事件

 

 ところが、である。ノーベル賞まで受賞し、世界の国々が温暖化対策の指針とするこの資料には、じつは(うそ)が満載されていたという事実が発覚したのだ。

 ことの起こりは、二〇〇九年十一月十七日、温暖化懐疑(かいぎ)派のサイトに、IPCCメンバーの電子メールが一〇〇〇通以上も公表されたことだった。電子メールはイギリスのイースト・アングリア大学のサーバーへの不正アクセスによってもちだされたもので、そのなかに、IPCCの資料のデータが偽造されていた事実を疑わせる一文があったのだ。

 これによってIPCCの資料の信憑性(しんぴようせい)が下がったのである。このメール流出事件は、ウォーターゲート事件にならって「クライメートゲート事件」と呼ばれた。

 さらに、他のメールの内容から、組織的に温暖化懐疑派の論文を科学雑誌から排除する工作が行なわれていた事実も判明した。他にも、前述した、ヒマラヤの氷河が二〇三五年までに溶けてしまうという予測に根拠がなく、アフリカの農業生産の話も間違い。アマゾンの熱帯雨林の危機についても科学的根拠がなく、オランダの海抜ゼロメートル以下の割合は国土の五五パーセントではなく、実際には二六パーセントだったという具合に、次から次へと嘘や誇張が見つかったのである。

 こうなると、温暖化自体に疑惑の声があがるのも当然の展開だ。そもそも研究者のなかには、地球は寒冷期と温暖期を定期的に繰り返しており、最近の温暖化傾向も自然のサイクルだととなえる者もいる。

 また、温暖化の原因は太陽の活動にあるという説もあって、原因が二酸化炭素だとする意見に疑問を挟む声もあるのだ。しかし、学会多数派の温暖化論に疑問を呈すると、研究資金を奪われるような実例があったため、反対の声は少なくなっていた。それが、この嘘の発覚により、温暖化懐疑派が俄然元気を取り戻してきたのである。

 さて、温暖化についての研究や議論は、この先どの方向へと向かっていくのか。どちらにせよ、国や組織の威信や政治的意図などではなく、本当に地球にとってよい方向へと進むことを祈るばかりだ。


 イワシの漁獲量が激減したカギを握る

 「レジームシフト」仮説

 

 

 ▼イワシの漁獲高は二十年前の一〇〇分の一

 

 もしかしたら、イワシが高級魚とされる日が近いかもしれない。

 なぜなら、二〇〇八年のマイワシの漁獲量は四万トン未満で、これは、二十年前の一〇〇分の一の量なのだ。このままイワシの漁獲量はどんどん減っていってしまうかもしれない。

 もっとも、マイワシやカタクチイワシ、サバなどは、豊漁の年と不漁の年があるのは、漁師のあいだでは知られている。そのため、たまたま二〇〇八年は不漁の年だったともいえそうだが、二十年前の一〇〇分の一にまで減ってしまったとなると、これは軽視できない問題だ。

 やはり、近年の乱獲(らんかく)で一気にマイワシは激減してしまったのだろうか。

 じつは、マイワシの漁獲量の変化は、乱獲といった人為的要因よりも、自然現象によるものだという説がある。

 この説は「レジームシフト」と呼ばれるもので、東北大学名誉教授の川崎(つよし)氏が、一九八三年に国連食糧農業機関(FAO)で発表している。

 レジームとは「大気や海洋、海洋生態系といった地球の基本構造」のこと。レジームシフトとは、このような基本構造が数十年間隔で転換(シフト)するという意味である。

 たとえば、数十年間安定していた気圧や気流などの大気のレジームが突然転換することで、海流の強さや水温が変化し、海面と海底周辺の海水が混ざり合う現象が大洋全体で起こる。
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