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人生を後悔することになる人・ならない人 パラダイムシフトの心理学
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生き方・教養
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第三章 「安全第一」の考え方が、つまらない人生を作る

『人生を後悔することになる人・ならない人 パラダイムシフトの心理学』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


読了目安時間:1時間10分
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素直になれない原因は「欲求不満の積み重ね」


 どうしても素直になれない人がいる。


 本人も意識して素直になろうと思っていても、なかなか素直になれない。素直に人のいうことを聞くのは想像以上に大変なことである。


 なぜなら感情と意識とは、脳の別の箇所から生まれてくるからである。

「そしてそれを逃れることは意識から逃れるよりもずっと難しい(註1)」


 素直になれないのは無意識にある今までの欲求不満の積み重ねが原因である。


 それは退行欲求への固着を表現している。


 人が成長することは至難なことである。


 マズローは「何が、人が成長することを妨害するのか?」と問う(註2)。

「人にとって先に進むことがなぜそれほどまでに難しく辛いのか?」と問う(註3)。


 人は成長する以外に生き延びる道はないのに、人はそう簡単に成長出来ない。


 成長出来なくて、斜に構えたり、(ひが)んだり、妬んだり、人に絡んだり、怒りをまき散らしたり、「私は凄い」と傲慢になったり、恨みがましく落ち込んだり、復讐心に囚われたり、無気力になったり、最後はどうにも出来なくなって「死にたい」と願ったりして苦しんで生きている。


 成長出来れば全て解決するのだが、それがなかなか成長出来ない。


 成長が困難でなければ、誰もわざわざ嫉妬に苦しんだり、自己不適格感に悩んだり、自分の人生に積極的関心を失ったりしない。


 成長なくして幸せなし。これが先哲の教えである。


努力して心を成長させることが幸せへの道


 しかし人は成長を拒否して、幸せを求める。


 自分のしてきたことを棚に上げて、要求だけはする人がいる。そしてその要求が通らないと相手を酷い人だと恨む。


 横綱になりたくても、横綱になる努力をしない。


 要するに幸せになりたいけれど、辛いことはいやということである。甘やかされながら幸せになりたいということである。


 しかし「それは無理だ」ということを先哲はいっている。


 ことに恵まれない環境で成長した人は、生まれたときから疲れているから、成長を拒否しがちである。


 恵まれた環境で生まれた人は生きるエネルギーを親からもらえるが、恵まれない環境で成長した人は、生きるエネルギーをもらえない。


 でも幸せになるためには成長しなければならない。


 マズローは、次のようにいう。



 私たちは満たされない欠乏欲求がもつ固着や退行の力についてもっと十分に知らなければならない。


 安全や安定の魅力についてもっと知らなければならない。


 苦悩、恐怖、喪失、脅威に対する防衛と保護の機能についてもっと十分に知らねばならない。


 成長し前へ進むために勇気が必要だということをもっと知らなければならない(註4)。



 要は、成長欲求に従うよりも退行欲求に従った方が楽ということである。


 子どもが何かをしたときに親は誇大に誉めるが、大人になっても、そのように自分を誉めてくれるだろうと期待していた。ところがその誉め言葉がなかった。それで深く傷つく。


 小さな子は、みんなが自分のことをいつも気に掛けていないと怒る。


 小さな子どもは、自分のことが常に優先順位一位でなければ気が済まない。それが子どもの自己中心性である。


 子どもは自分にとって一番の関心は、皆にとっても一番の関心でなければ気が済まない。そうでないと不当なことに思える。


 子どもにとってはそれが自然。


 しかし大人になったらこうはいかない。そして心理的に成長出来なかった大人はいつも傷つく。


努力しても意味がないと思うことから「苦難の人生」が始まる


 小さい頃、誰でも、わがままを認めてもらえない悔しさを体験する。そこで感情を爆発させる。


 こうして泣く子は、感情を吐き出しているから悪い子にならない。マイナスの感情を吐き出している子は自然と優しい子になる。


 マズローは「防衛の尊重」ということをいっている。


 子どもの心の傷を癒やしてあげることで、子どもは前進できるようになる。

「成長しない理由もまた認め、尊重するのである(註5)」


 何かにしがみついている子どもは、成長できない理由がある。そのことを理解してあげることで子どもは心理的に成長できる。


 泣くことを我慢した子の方が、感情が吐けていないから素直になれない。すねる、頑固になる。


 中には泣いても、泣いても、周囲の人が気持ちを分かってくれない子どももいる。そこで子どもは泣くのを止める。その時には無力感が心の中に広がる。


 自分の訴えは何の効果もないと感じるから無気力になる。努力しても意味がないと思うから努力をしなくなる。


 それが成長してからノイローゼになるような「良い子」であろう。


 大人であれ、子どもであれ、マイナスの感情を吐き出させることは前に進むために必要なことである。「前に進むために必要なことである」が、現実には誰でもがマイナスの感情を吐き出せるわけではない。


 だからこそ多くの人は、成長しないで、退行に固着する。


 よく「愛されるためにはどうしたらいいか?」という相談がある。


 理屈は簡単なことである。


 自分を愛してくれる人を自分の方から排除しなければいい。それだけで人は愛される。


 二人で食事をしている時、「その食べ方、おかしいよ」と注意してくれる人が、あなたを愛している人である。ふれあっているからそういえる。

「私は愛されない」と不満な人は、そういってくれる人を自分の方から遠ざけている。


 だから愛してくれる人が、そういう人の周囲にはいなくなっただけのことである。



 近親相姦願望とは、保護と安全の希求。自己のナルシシズムを充足、責任、自由、意識性にともなう負担から逃れようとする渇望、無条件の愛への希求(註6)。



 たとえば、二人で食事中、「あなたは素敵、好きよ」という人がいた。この言葉は、その人の「無条件の愛への希求」を満たしてくれる。


 しかし、これは二人の心がふれあっていない。


 愛情飢餓感が強くて、人を見分けられない人は成長出来ない。


 味覚がわからない人を考えてみれば分かる。


 すっぱいも、にがいもわからない。


 腐ったものを食べてもわからない。


 そしてお腹を壊す。


成長しない人は「どうしたら傷つかないですむか」と考えている


 自分を理解すると幸せの扉が開く。


 お腹が空いたときに冷蔵庫に首を突っ込めばいいものを、タンスに首を突っ込むようなことをする人が多い。ネクタイを食べてもお腹はふくれないのに、それで文句をいっている。


 入れ歯なのに堅い煎餅を食べてしまうような生き方をして、人生は辛いと歎いている人がいる。



 人は、心理的にいえば安全第一で、傷つくことを避ける。傷つくことから逃げる。


 普通の人は安全第一で、成長欲求と退行欲求の〓藤で退行欲求を選択する。


 別れた方が幸せになれる相手とも別れない。


 ことに劣等感の強い人は、どうしたら傷つかないかということばかりを考えていて、自己実現の心の姿勢がない。成長欲求を選択しない。


 その結果、自分の能力を使う喜びの体験がない。格好をつけてしまうことで息苦しくなる。


 道を間違えたときに大人に聞けばよいものを、赤ん坊に聞く人がいる。その方が恥ずかしくなくて聞きやすいからである。


 人から拒絶されることを恐れて自己主張できない。まさに勇気の欠如である。


 拒絶されることを恐れながらも自己主張するのが勇気である。その苦しみが成長と救済に通じることである。


 一人前の義務と責任を果たすことが苦しみであり、その苦しみが成長と救済に通じる。


現実から逃げている人は、「人間がいかに生きるべきか」を見失った人


 ただここで考えるべきことは、「人から拒絶されることがそんなに恐ろしいことか」ということを、もう一度立ち止まって考えてみることである。


 そんなに恐ろしいことではないのに、恐ろしいと自分が一人で勝手に感じている場合も多い。


 このように正しい現実認識をすることも勇気であり、心のゆとりである。


 そうして現実から逃げているうちに自分が誰であるか分からなくなる。自分が本当に欲しいものが分からなくなる。いつまで経っても自分自身の人生の目的が分からない。



 コロンブスは、安全に背を向けて西へ向かって船出した。そしてアメリカを発見した(註7)。



 もちろん無謀にではなく、計画を練りに練り、自らの実力を磨いて、磨いての話である。


 コロンブス自身が、「可能な限り全ての種類の勉強をした」と書いている。「地理の勉強、歴史の勉強から哲学の勉強まで(註8)」。


 私の注意を引いたのは、哲学を勉強したということである。


 彼はインドに行きたいと思っていたのだから、地理の勉強、歴史等の勉強をするということは常識で理解出来る。


 だが、哲学となると話は別である。


 コロンブスが哲学を学んだということから、彼は「人間いかに生きるべきか」ということを考えていた人だったのではないかと私は推測している。


 当時の船乗りは皆、東へ向けて船を走らせた。しかし、コロンブスは「西へ行こう」といった。


 彼が「西へ行こう」と決意したことには、地理や歴史や航海記録の勉強に加えて、「私はこうして生きるのだ」という彼の人生哲学があらわれているのではないかと私は思っている。


 彼のこの「西へ行こう」という決意こそが、人類の歴史上の大きな「パラダイムシフト」だった。航海の常識をぬりかえ、それによって歴史が変わったことを、現在の私達は知っている。


 コロンブスは大学で学んでいない。つまり、高等教育を受けていない。しかし彼は、自分が生きるために必要なものは身につけた。学歴は人を救わないが、学問は人を救う。


 コロンブスが安全第一であれば、安全に背を向けて西へ向かって船出しない。


 コロンブスの話をすると、あまりにも私たちの日常生活とかけ離れていて、自分の人生の参考にはならないと思うかもしれない。


 しかし誰にでもその人の中に「その人自身のコロンブス」はいる。あのコロンブスだって、自らを奮い立たせることなく、何も感じないで日常生活のままで、安全に背を向けて西へ向かって船出したわけではない。


 自己実現しながら生きる時には、誰もがコロンブスなのである。


 安全第一だけでは、自分の「実りある人生の航海」には出帆できない。


 成長動機を持っているか、退行動機を持っているかで同じ物事は違って見える。


 大航海ばかりではない。日常生活の子育ての苦労でも、親が成長動機を持っているか、退行動機を持っているかで苦労は違っている。


「どこまで自分自身になれるか」こそが人生の勝負


 人間の退行欲求のすさまじさについて、人はあまり考えない。


 人が「保護と確実性」を求める近親相姦願望のすさまじさを考えない。母親固着のすさまじさ、それは想像以上である。


 赤ん坊は目を覚ましたときに誰もいないと泣く。


 無意識で保護と安全を求めている。


 人はなぜ権力依存症、名声追求依存症になるのか。権力や名声で幸せになれるとは誰も思っていない。しかしそれを求める。


 それは保護と安全を与えてくれるのが「力」であると思っているからである。


 権力や名声ばかりではない。恋愛依存症も同じである。依存症で幸せになれると思っている人など一人もいない。でも人は依存症になる。



 性は分離によって生じた不安から逃れるための絶望的な試みとなり、いよいよ強まっていく分離の感情を生じるようになる(註9)。



 それらは目に見えない麻薬である。近親相姦願望を満たすものである。


 人生の課題は「退行欲求」からの解放である。

「どこまで母親固着から解放されるかが、どこまで自分自身になれるかということ」である。ここでいう母親固着はもちろん「退行欲求」である。


 自分の人生に課された問題を一つ一つ解決していくことが「自分自身になること」である。


 母親から愛されなかった人は、母親固着からなかなか解放されない。どうしても先に進めない。


 古い車のエンジンが故障したうえに、雪道でスリップして、そこから先に進めなくなっているようなものである。


心が成長していない人は、自分が「不幸だ」「惨めだ」と思っていたい


 人は不幸にともなう感情にしがみつきがちである。


 その感情からなかなか抜け出せない。


 人は不快な感情から抜け出ようとしない。それは不幸にともなう感情にひたっていることが退行欲求を満たすからである。


 しかし大人になれば退行欲求はなかなか満たされない。その満たされない欲求から怒りが生じ、それが敵意となり、攻撃性となる。


 人は心理的に成長しない限り、攻撃性は不可避である。

「妬みは人を殺す」といわれるがその通りである。


 攻撃性が受け身で表現されれば、それは嫉妬や妬みとなる。英語のpassive aggressivenessという妬みの表現は適切である。


 苦しみは非難を表現する手段である。


 苦悩能力のある人だけが、「苦しみは解放と救済に通じる」というアドラーの言葉を理解できるだろう。


 攻撃性は巧妙に「弱さ」に変装するとアドラーはいう。

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