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いちばん大切な生き方 <ひとり>になって、見えてくることわかること
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生き方・教養
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会社と家庭だけが人生ではないはずだ

『いちばん大切な生き方 <ひとり>になって、見えてくることわかること』
[著]川北義則 [発行]PHP研究所


読了目安時間:4分
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 今までサラリーマンは、会社と家庭への帰属意識が強く、この二つさえ安泰ならばよしとするところがあった。だが、最近になって「自分とは一体何なのか」という〈自分探し〉の風潮が中高年の間に出てきている。これはいいことだと思う。

 若い人たちがよくいう〈自分探し〉という言葉を、私は好まない。経験に乏しい若者が見つける自分など、いずれたいしたものではないはず。そんなことをいってる暇があったら、どんな世界でもいいから積極的に飛び込んでいって、経験を積んだほうが余程ましだと思う。

 だが、中高年以後の世代が〈自分〉について考えることは、その先の人生を充実させる上できっと役立つ。今まで中高年世代は、そういうことを考えなさすぎた。遅まきながら「哲学してみる」のも悪くないではないか。

 そんなとき、何といっても一番いいと思われるのは、「一人で行動する時間」を増やすことだ。会社も家庭も一切関係のないところで、時間をつぶす癖をつけるのである。そうすると、今まで気づかなかった自分、今まで思いもしなかった人生の風景が見えてくるはずである。

 一人になれる空間だけを考えるなら、家庭にあるかもしれない。自分の書斎をもっている人なら、いつでも一人になれる。しかし家族がいる自宅では、すぐに邪魔が入る。それよりも一人で酒場にでも出かけてみるといい。

 カウンターに座って、誰とも口をきかずに過ごす。職場のわずらわしい人間関係も仕事のことも家族のことも一切忘れて、純粋に自分だけのひとときをもつと、ふだんは味わえない不思議な感興がわいてくる。これこそ、自分が築いてきた固有の「人生の味」なのだ。

 この種の愉しみには、女性のほうが早く目覚めている。たとえば女性のエステ通いがそうだ。エステへ通うのは単に「美容のため」だけではない。彼女たちは一人で過ごす時間を愉しんでいるのである。

 最近になって、男性もようやくこの愉しみに気がついた。男性向けの「隠れ家」雑誌がよく売れているのがその現われといえるだろう。また、ホテルやレストラン、理容店なども男性のこうした動きを敏感にキャッチして、男性顧客を狙ったサービスを始めるようになった。

 たとえばホテルニューオータニには、「おとこの革命」と命名した男性一人客向けの宿泊プランがある。部屋にふだんよりも多めに観葉植物を置いたり、理容サービスをつけたりして、くつろぎ度を高める演出を凝らしている。

 この種のプランはこれまで女性客対象だったが、男性にも広げようとする動きが大手ホテル中心に目立っているのだ。集客戦略ということもあるだろうが、ニーズがなければ成り立たない。男もようやく「会社(仕事)と家庭だけが人生ではない」という思いに目覚めたということだろう。

 誰だって、自分が長い年月かけて築き上げてきたものを壊したり傷つけるのを望まない。それは自分のこれまで生きてきた人生、してきた努力の否定につながる。とくに男にとって会社や家庭は、守るべき「大切な存在」である。

 だが、そこには微妙な誤解、勝手な思い入れが潜んでいる。それはいってみれば「片思い」のようなものだ。会社という存在は、いかに思い入れがあろうとも、定年を迎えた時点で個人的にはエンドマークを打つべきものだ。

 創業者でもない限り、会社は生活の糧を得る手段にすぎない。仕事がどれほど好きだって「好きなことをして生活費を稼がせていただいた」というだけのこと。終身雇用、年功序列が崩壊して、会社がそういう存在であることがはっきりしたはずだ。

 証券業界の(ゆう)だった山一証券の元社員が、「山一精神はいまだ心の支え」といっているのを最近の新聞で読んだが、情緒的すぎると思う。ぶざまな失敗のあげくつぶれた会社に未練を残してどうするのか。〈自分〉という座標軸から眺めてみれば、つぶれようが発展しようが、会社などいかほどのものでもない。

 これからのサラリーマンは「会社は自分のために存在する。会社のために自分が存在するのではない」としっかり思い定めるべきだ。家庭だって同じだ。子どもが巣立ってしまった家庭は、新婚時代と同じで夫婦二人に逆戻りする。

 夫婦が仲睦まじければ、それはそれで結構だが、もし不仲だったら、お互いのために「別れる」という選択肢を選べばいい。何も無理して一緒にいることはないと思う。「合わせものは離れもの」という言葉もあるではないか。

 この点、女性は男性よりも一歩進んでいて、すでにそういう考え方をもち、かつ実行している。それができるのは、男よりも「自分を見つめ直す時間」を多くもっているからだ。

 このあたりで、男も自分の抱いてきた価値観を徹底点検してみるといい。そのために絶対に必要なこと、それが「一人で過ごす時間」なのである。

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