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「中国なし」で生活できるか 貿易から読み解く日中関係の真実
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政治・社会
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第3章 グローバル化するモノづくり

『「中国なし」で生活できるか 貿易から読み解く日中関係の真実』
[著]丸川知雄 [発行]PHP研究所


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~電化製品・情報サービスに見る中国製品への依存~


ノートパソコンまで中国製


〈質問〉以下は日本が中国から輸入している主な品目ですが、もっとも輸入額が多いのはどれでしょうか?


〓玩具 〓コンピュータと周辺機器 〓ニット衣類 〓食料品



 正解は〓である。二〇〇七年に日本が中国から輸入したコンピュータおよび周辺機器は一兆一六七四億円、ニット衣類は一兆一一〇一億円、食料品は九一〇四億円、玩具は五七三七億円だった。


 中国からの輸入品というと、衣服や玩具、雑貨といった、あまり技術水準の高くないものを想像する人が多いと思う。しかし、国際的に決められた「HS6桁分類」という分類法で見た場合、金額で見た第一位は「携帯用の自動データ処理機械」、要するにノートパソコンである。


 日本は二〇〇七年に四三七万台のノートパソコンを輸入したが、その九八%が中国からだった。ハイテクの代名詞のようなノートパソコンまで中国で作られるようになったとすれば、もう日本ではクルマ以外何も作っていないのだろうか。


 悲観的になるのはまだ早い。日本国内でも同じ年に五二五万台のノートパソコンが製造され、うち二二三万台は輸出された。つまり、ノートパソコンは中国から大量に輸入する製品であると同時に、日本にとって大事な輸出品でもあるのだ。

「じゃあ要するに、最近流行の『ネットブック』のような安いものは中国から輸入し、高級なものを日本で作って輸出しているのね」と思いきや、必ずしもそうではない。単価を計算してみると、日本が輸出しているノートパソコンは一二万四〇〇〇円であるのに対し、中国から輸入しているノートパソコンは一〇万八〇〇〇円で、思ったほど大きな違いはないのである。


 いずれにせよ、以上の数字を突き合わせると、日本国内には二〇〇七年に国産品と中国からの輸入品を合わせて七三九万台のノートパソコンが出荷され、うち五九%が中国製だったという計算になる(〈図表8〉参照)。二〇〇八年はさらに中国依存が進んで、国内に出荷されたノートパソコンの七五%が中国製になった。



 意外なことに、デスクトップ型パソコンのほうが中国への依存度は低く、国内生産の比率が高い。二〇〇七年に日本では五五四万台のデスクトップ型パソコンが出荷されたが、そのうち五一%(二八一万台)が国産品だった。一方、中国からの輸入は二四〇万台(そのなかには本体のみ、つまりディスプレイやキーボードをつけないで輸入されたものも含む)で、国内に出荷されたデスクトップ型パソコンのうち、四三%が中国製だったという勘定になる。


 次に、パソコンを構成する主要な部品について見てみよう。


 まず、キーボードは世界のキーボードの実に九六%が中国製であり、今私が叩いているキーボードも中国製であることは間違いない。キーボードは主に、中国に工場を持つ台湾企業によって生産されている。


 液晶ディスプレイはデスクトップ型パソコンと似たような状況で、日本国内で販売されたもののうち四二%が中国産、五五%が国内産という構成になっている。


 その他の部品、例えばハードディスクドライブやフロッピーディスクドライブ、CD‐ROM装置などは、日本国内ではもはやほとんど生産されておらず、日本製のパソコンであっても大概が輸入品を搭載している。そこで、これらの部品がどこから輸入されているかを見てみよう。


 まず「磁気ディスク装置」、要するにハードディスクドライブやフロッピーディスクドライブは、中国からの輸入額は輸入全体の二三%で、タイ(二五%)に次ぐ第二位である。CD‐ROM装置では、インドネシアからの輸入が全体の五九%を占め、中国は三一%で第二位。光ディスク装置では、中国からの輸入額が輸入全体の五四%を占めているが、フィリピン、マレーシア、インドネシアからの輸入もかなり多い。


 以上のように、パソコンはノート型もデスクトップ型も輸入といえばほとんどが中国からだが、ハードディスクや光ディスク装置といったパソコンの部品になると、東南アジアからの輸入が結構多いのである。


台湾メーカーの中国進出が契機に



 パソコンの輸入が中国に集中する理由は、世界のパソコンの大半を作っている台湾メーカーが中国に生産拠点を置いているからだ。台湾メーカーというと、「ネットブック」と呼ばれる五万円前後の小さなノートパソコンで、アスース(華碩)やエイサー(宏碁)の名前がようやく日本でも知られるようになった。


 しかし、実はNEC、デル、HP、東芝、アップルといった、我々におなじみのブランドのパソコンも、その多くが台湾メーカーによって作られており、いわばパソコン産業における黒子ともいえる存在なのである。


 ノートパソコンの場合、富士キメラ総研の調査によれば、二〇〇七年に世界で一億八〇万台作られたうちの、九割近くが台湾メーカーによって生産されたものだ。台湾メーカーの作るパソコンのうち、自社ブランドのものはごく一部で、ほとんどがNEC、デル、HPなど日本やアメリカのメーカーからの発注に基づいて、相手先のブランドをつけて生産されたものである。


 電子産業ではこうした委託生産を「OEM(Original Equipment Manufacturing)」と呼ぶが、台湾メーカーは単に指示にしたがって作るだけでなく、パソコンの設計まで受託しているので、自らの役割を「ODM」と呼んでいる。このDはデザイン(設計)のDである。


 ただ、発注する側のブランドメーカーとしては、台湾メーカーに完全に任せきりにしてしまうと、他社の製品とそっくりなものができてしまう恐れがあるので、外観のデザインくらいはブランドメーカー側が行うこともある。


 また、台湾メーカーに発注したブランドメーカーは、でき上がったパソコンを店頭に並べる前に、自社の工場にいったん入れて、そこでOSをインストールし、客の注文に応じて中央演算素子(CPU)を差し込むなどの作業をすることもある。先ほど日本国内でノートパソコンが五二五万台生産されたといったが、そのなかには実はこうしたごく簡単な作業による「生産」も含まれているようである。


 台湾メーカーは、もともとは台湾でパソコンやマザーボード(パソコンの回路を載せた基板)を作っていた。だが、台湾でも日本と同様に製造業にはなかなか働き手が来なくなり、労賃も上昇したので、まず一九九〇年代に中国南部の(しん)〓(せん)などに工場を移した。そこではマザーボードのほか、デスクトップ型パソコンのケースにマザーボードや電源を組みつけた、「ベアボーン」と呼ばれる半完成品のパソコンを作るようになった。


 日本やアメリカのブランドメーカーは、台湾メーカーが中国で作ったベアボーンに、お客の注文に応じてCPUやハードディスクドライブなどを組みつけて出荷する。日本国内でも意外にデスクトップ型パソコンの生産が多いのは、中国からベアボーンを輸入して、日本でCPUなどを組みつけているケースが多いからだろう。


 ノートパソコンに関しては、中国へのハイテクの流出を恐れる台湾政府が、台湾メーカーの中国進出を禁止してきた。

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