読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
100
kiji
0
0
1193325
0
自分のうけいれ方 競争社会のメンタルヘルス
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第七章 幸せのかたち

『自分のうけいれ方 競争社会のメンタルヘルス』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


読了目安時間:26分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



  一、幸せに生きるのに大切なのは心の歴史

 

 人のまねをして自分らしさを失わない

 外側から見れば同じことでも、心の世界ではそれぞれ違っている。そして、その違いのなかにあなたの固有な人生が見えるのである。

 あなたが今まで「そのように」生きてきたということが、そのままあなたの固有の人生なのである。あなたの過去を肯定するということはそういうことである。

 だから、あなたは自分が今までしてきたことのなかに「自分」を発見することである。自分の過去を肯定的に見られるときに自分を発見できる。

 私たちは「できない」ということを「よくないこと」と思いがちである。しかし、できないことがなんでもかんでも悪いことではない。時にはできないということが、その人がこれから長く生きていくことにとって望ましいことも多い。

 イソップ物語風に説明すれば次のような寓話になる。

 

 カエルが水際(みずぎわ)で楽しそうに飛び()ねていた。

 それを見たザリガニが(うらや)ましくなって必死になって飛び上がった。

 なんとか飛び上がれたが、一つできないことがあった。それは、水のなかでは跳ね上がれたけれども、カエルのように陸で跳ね上がれないことであった。

 そこでザリガニは練習を重ねて、必死で飛び上がり、ついに陸の上に落ちた。

 そして、ザリガニは水に戻れなくなって干からびて死んでしまった。

 

 ザリガニは陸で跳ね上がれないからザリガニなのである。できないことが自然なことなのである。陸で跳ね上がれたらザリガニはザリガニでなくなってしまう。

 あの長いしっぽ、たくさんある足、それを考えれば陸よりも水のなかのほうがいいに決まっている。ザリガニはカエルのまねをすることで、どんどん自分らしさを失っていったのである。

 ザリガニが飛び跳ねられないのを知ったときは、自分は何者であるかを知る機会であったのである。

 自分が何かをできないときに、それは何事かを教えているのである。
「たいがいの人は、いわゆる不運とか失敗とかいうものに対する愚かな恐怖のなかに生きて、そうしたものがどんな善きものでありうるかを知らない(注20)」

 

 失敗したほうが人生にとってよいときもある

 イソップ物語に「王様になったサル」という話がある。

 

 (けもの)たちの間で、サルが踊りを踊って人気者になった。そして王様に選ばれた。

 それをキツネは(ねた)んだ。

 そこで(わな)の中に肉が置いてあるのを見つけて、サルを連れていき、
「宝物を見つけましたが、自分では手をつけずに、王様の獲物として置いてあります」と言う。

 サルはそこに入って罠にかかる。

 

 サルは王様になるべき動物ではない。サルはライオンではない。

 サルは木に登っているからサルなのである。

 このサルは(さび)しいから人気者になったことが(うれ)しかったろうが、破滅への道になった。

 それに、サルは木登りで人気を博すのが(すじ)である。踊って人気を得ようとするサルは、よほど淋しいのだろうが、サルの道を踏み外している。

 

 人間の世の中にもこうしたお調子者がいる。すぐにいい気になる人がいる。

 失敗したときには、その時点を見れば失敗であるが、その人にとってはよいことだという場合が多い。

 あなたは、会社で、あるいは学校で、望むほど人望を得られなくて不満になっているかもしれない。あなたは、望むほどお金がなくて不満になっているかもしれない。

 しかし、あなたの現在の資質からいえば、お金がないことも、人望のないことも、あなたの人生を破滅から救っているかもしれない。

 だいたい、すぐに「いい気」になる人の場合、友人もサルタイプの可能性が大きい。いつか「やっかみタイプ」のキツネに(ひど)い目に遭わされる。

 学者でも道を踏み外す人がいる。その人が本来関心のある領域は世間から注目されていない。そうなると、自己顕示欲が強くて協調性のない学者は、注目を集める領域に手を出していく。そして挫折(ざせつ)する。

 注目されないからこそ「その人」なのであるが、それを間違える。注目されたら「その人」ではなくなる。

 

 なぜ人は自分でない自分を演じるのか
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題である」と言ったハムレットにならっていえば、「自分が自分として生きているか、自分でない自分を演じて生きているか、それが問題である」。

 サルは泳げないからサルなのに、魚として生きようとしていることが問題である。

 もしあなたが日々悩んでいるとすれば、あなたはサルなのに魚として生きようとしていると思ってよい。

 では、なぜ人は自分でない自分を演じてしまうのか。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:10608文字/本文:12516文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次