不満の原因は何か?
今、あなたは不満である。
しかし、何が不満であるかが分かっていない。
「私はこのことが不満です」というものがない。でも不満。
なんだか分からないけど、とにかく不満。
そうした得体の知れない不満を持つ人は大人にも多い。
それは愛情の不満なのである。
今の日本の社会が不満だとか、学校が不満だとか、受験制度が不満だとか、色々と言うかもしれないが、正直なところ、それが不満だとは心の底では思っていない。
得体の知れない不満に対して、それに何か理由をつけなければならないから色々と言っているだけである。その真の理由は愛情の不満である。
真の愛情が不足している不満。あるいは「過剰なる虚偽の愛情」の不満。
「過剰なる虚偽の愛情」は、『疑わしき母性愛』(ヴァン・デン・ベルク著/足立叡・田中一彦訳/川島書店)という本の中で出てきた言葉である。内容はどう表現してもよいが、愛情不足が原因の不満である。
本当の自分という存在を認めてくれない不満、自分が頑張って達成したことを認めてくれない不満、真剣にしたことを軽く扱われた不満、頑張った努力をわかってくれない不満などであろう。
本当は自分が母親を独占したかった、本当は母親に自分のほうを見ていてほしかった、本当は自分の話だけを聞いてほしかった、でも違った……などの不満であろう。
親から感謝されたくて手伝いをした。でも感謝されなかった。
そうした不満が続く中で、元気に生きる気力もなくなってしまった。
頑張っても認めてくれないから、頑張るエネルギーがなくなった。
大切なのは、自分の本当の不満の原因を突き止めることである。本当の不満を学校への不満に置き換えたり、社会への不満に置き換えたり、先生への不満に置き換えたりしていては、いつになっても満足した生活はできない。
成績の不満にしても、本当は「実際の自分」に対する不満ということもある。
「こうなりたい自分」というのがある。
しかし、なかなか、その「こうなりたい自分」になれない。
そうした不満がベースにあるから、成績が悪いと傷ついて落ちこむ。友達や恋人や先生に軽く扱われると傷つく。何かにつけて傷つく自分。
しかしなぜ「こうなりたい自分」が出てきたのか。
なぜ、ありのままの自分では不満で、「こうなりたい自分」がいるのか?
「こうなりたい自分」とは他人の賞賛を浴びる自分、あるいは親から認められる自分。
いずれにしろ、なぜあなたは「こうなりたい」のか?
もしかしたら、小さい頃から親があなたをほめないで、従兄弟のことばかりほめていたからかもしれない。