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実録 詐欺電話 私はこうしてだまされた
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ルポ・エッセイ
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はじめに――私がこの本を書いた理由

『実録 詐欺電話 私はこうしてだまされた』
[著]日向野利治 [発行]すばる舎


読了目安時間:3分
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 「無関心、慣れ」――。これほど、恐ろしいものはない。


 私たちは日々、さまざまな事件のニュースに接している。最近は、いろいろな詐欺がらみの事件があり、その手の報道を耳にしない日はないほどだ。


 その結果、ある面で慣れてしまっている。「自分とは関係ない世界の話」という思い違いをしている。


 しかし、違う。詐欺はすぐとなりの出来事であり、明日はわが身だ。いや、今日、いま、かもしれない。


 私の詐欺電話との初の遭遇は、2005年の11月のことだった。


 ある日突然、私の携帯電話に見知らぬ相手から電話がきた。あれよあれよという間に、お金をだまし取られた。


 この体験を通じて私は、自分がいかにもろく、無防備であったかを思い知らされた。


 「なんであんな詐欺に遭うのか」――。体験したことのない人は皆、口をそろえてこういう。


 それは、ある面うなずける。私も被害に遭うまではそう思っていたのだから……。


 しかし、当事者になって、実際にその詐欺に直面し、追い込まれた人間のもろさを痛感した。


 ある日突然、恐喝まがいの電話に遭遇したとき、人は期待したほど冷静に、理論的には対応できないのだ。


 これは本文でも述べたことだが、脳が勝手に反応するのだ。「怖い」そして「恥ずかしい」と……。


 そうなると、詐欺師たちの思うつぼ。彼らのいうまま操られ、ATM(現金自動預け払い機)に向かってしまう。


 暗示でも催眠でもなく、自発的に、である。


 なぜそうするのか。


 それはただ、「その場を逃れたい」という心理がそうさせるのだ。


 人はそれほど強くない。恥じらい、計算ずく、親ばか、孤独、持病、虚栄心など、人それぞれいろいろな「弱点」をもっている。


 詐欺師たちは、いかなる種類であれ、そういった人間の弱点を巧妙に突いてくる。


 しかも、つねに次なる策略を練って、われわれに迫る。まるで新種のウィルスのように……。


 だから、防備が難しい。しかし、ウィルスに対してワクチンが開発されたり、人間の身体に免疫ができたりするように、最低限の情報だけでも身につけておけば、被害は防げる。少なくできる。


 今回のことで私は「情報こそが武器である」と実感した。


 そういう「武器」とすべき情報は、いまは各地の警察や消費生活センターなど、いろいろなところで閲覧することができる。


 しかし、この本で私が()()述べたのは、いわゆる「通り一遍の知識」ではない。


 その場の実感のともなった生々しい体験にもとづくものである。


 だから、私が実体験で学んだ「防備法」は、必ずしも、警察や消費生活センターなどのそれではない。


 そうした「通り一遍の情報」では、まったく役に立たないこともある。そのことを身をもって経験したからこその情報だ。


 用心に越したことはない。身の毛もよだつ体験をした私は、以前よりも警戒心の強い人間になってしまった。ある面で不幸だ。


 地上の楽園に()む生き物には警戒心がない。それは、そこが天敵のいない楽園だからである。


 しかし、私たちが生きているこの世の中は楽園ではない。


 自己防衛のすべを身につけていないとつけ込まれる世の中である。


 いじめ問題にはじまり親子や夫婦の殺し合い、高齢者の孤独死、ホームレス狩り、自殺者増加など、生きていくことが大変ないまの世の中、わが身を守ることは下手な財テクの何十倍まさる。


 攻めよりもいまは守りをいかに固めるかが大切な時代である。


 詐欺電話以外の恥多き過去までさらして書いたこの本が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いである。
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