これはやはりあとから知った話であるが、この種の詐欺に1回でもお金を支払った人間は、詐欺師たちのあいだで、いわゆる「カモリスト」と呼ばれ取り引きされるリストに載ってしまうらしい。
私はいまだに実物は目にしたことはないが、こうしたリストが、いわゆる名簿業者を通じて、詐欺を働く連中のあいだで高値で売買されるという。
前年の暮れ、振り込み詐欺被害者となった時点で、私の名前はカモリストに載り、それが出まわったのであろう。
携帯電話の電話番号やメールアドレスなどの個人情報とともにリストアップされ、「カモ」という名の〈上客〉としてマークされた。
カモリストに乗ると、請求額がどんどんエスカレートするようだ。
あとから消費生活センターに聞いた話では、「繰り返しだまされるケース、被害者が増えている」とのこと。
私に200万円という高額の請求をしてきた猫なで声の男も、おそらく、こうしたカモリストを、彼のいう「それ相応」の額で購入したのだろう。