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女帝論 「天皇制度」の源流を訪ねて
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歴史
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五 玄界灘航路を守護する宗像三女神――福岡県宗像市

『女帝論 「天皇制度」の源流を訪ねて』
[著]呉善花 [発行]PHP研究所


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宗像三女神と済州島三姫君の伝承

 

 平成十四年七月後半に、福岡県宗像(むなかた)玄海(げんかい)町田島(現・宗像市田島)の地に宗像大社を訪ねた。平成六年、平成十年にも訪れていて三度目の参拝である。頭上からギラギラと強い日射しが容赦(ようしや)なく降り注ぐ炎天下、しかも日曜日であるにもかかわらず、玄海町役場の花田義徳さんと石田清二さんにご足労をかけてご案内いただいた。

 玄海町は私の生まれ育った済州島東海岸の城山邑と姉妹都市関係を結んでいて、長年交流が続いている。その意味でも私にはとくに親近感のある土地である。

 宗像大社の祭神の宗像三女神は、アマテラスとスサノオが天上にある天安河を隔てて、正邪の神判を仰ぐ誓約(うけい)をした結果、出現した。

 いくつかの異伝を総合すると、スサノオとアマテラスが互いに自らの持ち物の剣と玉を交換し、それぞれ聖なる河水につけて粉々に砕いて口に含み、息とともに吹き出すと、スサノオ=玉の噴霧からは三女神が、アマテラス=剣の噴霧からは皇室の祖先の五男神が誕生した、というものである(逆の異伝もある)。

 そのような神話が『古事記』と『日本書紀』に記されていることから、宗像三女神は古代の皇室と深い関係にあったことが想像される。

 玄海町と城山邑は、同じ海女の活躍する海村という共通性があるが、それだけではない。姉妹関係を結んだときにはおそらく両者が意識していなかっただろうと思われる、不思議な共通性があった。

 玄海町の宗像大社は宗像三女神を祀る本地だが、済州島には日本から三姫君が漂着して済州島の三男神と結婚し、済州島人を生んだという伝承があり、その漂着地と伝えられる場所が、私が幼い頃によく遊んだ城山邑の海岸なのである。その済州島の伝承は次のようなものである。
「済州島の地面に空いた穴から出現した三神人は山野で狩りをして暮らしていたが、あるとき、東海の海辺に赤紫色の泥に覆われた木箱が流れ着き、その中に一人の男の使者と青衣に身を包んだ三処女が、子馬、子牛、五穀の種子と一緒に入っていた。使者の男は三神人に次のようにいった。
『私は日本国の使者で、日本国王の命で三王女を連れてきました。日本国王は、西海の山麓に三神が降臨されてこれから建国をなさろうというのに、お相手となる妻がなくてはお困りでしょうと仰せられ、そこで三処女を遣わされました。どうかそれぞれをお相手にされて御大業をお果たし下さい』

 こうして三神人はそれぞれ妻を(めと)って国土を開拓し、やがて人々も増えて豊かな国となっていった」(『高麗史』より)

 ここでの「日本」を「東海の白浪国」とか「碧浪国」とする諸本もあるが、いずれにしても東の海の彼方の国――日本を意識しての伝承だと思われる。また、その漂着地の真東近く(緯度で二十分ほどの差)に玄海町が位置していることも、情緒的にはとても興味深く感じている。

 また済州島には女始祖神の神話が伝えられており、今でも済州島ではソルムンハルマン(ソルムンおばあさん)と呼ばれ、子孫を守る強い威力をもった神として信仰を集めている。

 またソルムンハルマンは天帝の三番目の娘とされ、三番目の娘に神威を認めるような話が、済州島の神々についての伝承によく出てくる。
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