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スポーツの世界は学歴社会
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はじめに

『スポーツの世界は学歴社会』
[著]橘木俊詔 [著] 齋藤隆志 [発行]PHP研究所


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 日本社会では、高学歴の人ほどいい職業につき、高い地位や収入を手にする確率が高いというのが一般的な認識である。事実、企業において昇進が速い人や、トップにまで昇りつめる人には、高学歴で名門校の出身者が多い。

 こうした特性が、スポーツの世界でも生きているのかどうかが、本書の大きな関心事である。だれもが、たぶんそうだろう、と認識しているとは思うが、そのことをデータを用いて徹底的に検証し、その理由について考察を加えている。

 日本では、学校と企業がスポーツの団体競技を支えてきた。

 学校では、野球、サッカー、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなど、多くの団体スポーツが取り入れられている。これは、学生の体力増強を目的として体育の授業が行われたことと、他校との試合競技を行う運動部があったという2つの要素が大きな役割を果たしている。

 ご存じのように、スポーツの多くは海外から移入されたものである。野球にしろ、サッカーにしろ、まず学校で定着し、全国に普及していった。そこで本書では、学校スポーツの歴史をふりかえり、強豪校と称される学校(その典型が早稲田大学)がどうやって誕生し、現在にいたっているかについて、幅広い視点から分析を行っている。

 いっぽう、企業は、実業団というかたちで各種のスポーツ競技を行ってきた。日本で企業スポーツが盛んになったのは、企業のイメージアップや、応援などを通じて社員の一体感を高めるために積極的に取り組んだからである。ただ、ある時期から、一部のスポーツがプロ化の道を進むことになる。プロチームになれば、選手は高収入が得られるし、人気も出るため、多くの若者がプロチーム入りを望むようになった。

 そうなると、どの高校や大学を卒業した選手が実業団やプロのチームに入り、どれだけ活躍しているかが関心の的となる。同時に、どの高校や大学がスポーツの強い学校となっているかにも関心が向くので、本書ではこれらについて徹底的に分析を行っている。

 スポーツの強い学校になるには、運動部の指導方針や練習方法が重要であることはいうまでもないが、スポーツに秀でた生徒や学生をどれだけ集められるかも大きなポイントである。高校や大学のなかには、そうした人間を優先的に入学させ、スポーツ中心の学校生活を送らせているところもあるが、これが公平なのかどうか、教育の主目的である学業との両立という点からはどう解釈できるか、などについても論じている。

 ところで、スポーツ選手のキャリアは比較的短い。プロスポーツで大成功した人は、現役生活が短くても高収入を手にするので問題はないが、大半のスポーツ選手は生活のために引退後も働かざるをえない。そこで、学校、実業団、プロでスポーツを終えた人が、そのあとの人生をどう送るのか、どういう職業についているのか、そこで学歴はどれだけ生きているのかを分析する。

 とくに注目したのは、どういう人が監督やコーチといった指導者になっているのか、ということである。経営学では、企業のトップになる人物についての分析が重ねられているが、それと同じ理論がスポーツの世界でも成り立っているのか、興味を引かれるからである。


 本書の著者は2人とも、教育、昇進、賃金、働く意欲などについて分析する労働経済学を専門としている。また、ともにスポーツ好きを自認している。そこで、経済学でわかっていることが、スポーツの世界でどれだけ当てはまるのかという知的探究心から本書は生まれた。とはいえ、2人ともスポーツを実践したことはないので、スポーツ選手から見ると知識不足を露呈(ろてい)しているかもしれないことをお断りしておく。

 本書で扱うスポーツは、プロとアマを含めた野球、サッカー、ラグビー、マラソン(駅伝)、相撲などである。このうち、野球、サッカー、ラグビーは団体競技の典型であり、学校、企業、地域などで熱心に取り組まれているため、それだけ注目度も高い。とくに、野球とサッカーはプロ組織が定着していることもあり、議論の対象として価値が大きいといえる。

 なお、歴史的な経緯から、男性中心のスポーツに限定せざるをえなかったことをお断りしておく。ただ、女子バレーボールはいうにおよばず、近年は女子サッカーの人気が高まっていることもあり、女性スポーツについての分析は今後の注目事項であろう。

 本書を(ひもと)いてほしいのは、スポーツ実践者と愛好者は当然として、経済や経営に関心のある学生、企業人、学校関係者である。とくにプロ野球好きの人には、データを読む楽しさを感じてもらえるように工夫を()らした。また、スポーツにそれほど関心がない人にとっても、社会評論として興味深く読める内容となっている。

 つまるところ、スポーツの世界は実力第一で、学歴で決まるわけではないようでいて、やはり学歴があるに越したことはないのである。
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