免許がない人に車を売るすご腕営業マン
私の知り合いにものすごくやり手の営業マンがいます。
彼は車を売るディーラーで、トップセールスですが、決して車の押し売りをしません。それどころか、車の話さえしないことがあります。
にもかかわらず、彼と話すと、みな彼から車を買いたくなってしまいます。
一番驚いたのは、免許をもたない女性まで、「私、車が欲しくなっちゃった」と言ったことでした。免許がない人にまで車を買う気にさせてしまう、ものすごい彼のテクニックとはなんでしょう?
それは彼が心から自分が売る車を素晴らしいと思っていることでした。
こんなにいい車はほかにない。これこそが世界一の車だ。心の底からそう思っているので、彼から出た言葉は相手の心を動かします。
彼には「自分はこの車が本当に好きだ」という意識があって、そこから言葉が出るから、相手も本当に素晴らしいと思ってしまうわけです。
ところが多くの営業マンは、「本当に好きだ」「素晴らしい」がなくて、ただ売るほうだけに力を入れています。自分の意識が「好きだ」にではなく、「何とかして売りたい」「売って数字を達成しよう」というところにあります。
だから、売れないのです。「この車、いいですよ」と言っても、言葉が上すべりして、白々しく響いてしまいます。
自分が食べたこともないのに、「美味しいですよ」といって食べ物を横流ししているのと同じです。
自分の意識を自在にコントロールする
でも自分が売る車を好きになるだけでは、これだけの営業成績をあげられません。彼の場合はさらに高度なテクニックを使っています。
彼は、自分がすすめたにもかかわらず、相手が自分からほしいと思ってしまうようにもっていく方法を知っています。
これは武術でもかなり修行を積んだ人しかできない技です。
どういうものかというと、自分が心地よい状態につねに自分の意識をもっていくことで、自分の意識を感じながら、相手の意識も感じ取れるようになる技です。
いつでも望んだときに自分の意識を調和した心地よい状態にすることができる人は、相手の前で自然な会話や笑顔ができます。
それだけでも人間関係は良好になりますが、さらにその訓練を積んでいくと相手の意識も感じ取れるようになるのです。
考えてみればそうですよね。自分自身の意識を感じ取れない人に、相手のことがわかるわけがありません。
まずは自分のことがよくわかって、自分の意識を自在にコントロールできる訓練を積むと、相手がどういう状態にあるのか、相手の意識も冷静にとらえることができるようになります。
そうすると、相手の望みがわかるので、かゆいところに手が届くように、相手の気持ちに応えられるようになります。
すると相手はどうなるでしょう? たまらなく心地よくなりますよね。
あとは心地よさの中で、お互いに好きなものやワクワクする気持ちをやりとりしあう。
自分が好きなものは自然と相手の好きなものに同化されて、気がつくと相手は車がほしいと思うようになっている、というわけです。
しかも、不安やあせりではなく満たされた状態で車を買うので、お互いに遺恨をのこすこともありません。
これが彼が使っている高等テクニックです。
まさに名人域なのですが、ここまで達するには、まず自分の意識をコントロールして、心地よい状態に持っていく訓練が必要です。彼はそれを繰り返しているうちに、高等テクニックを身につけたのです。
働くことを「苦しみ」にしない
みなさんは仕事が楽しいですか? それともつらいですか?
仕事がつらい人は、不調和な状態にあるということですから、その不調和を変えるようにしなければいけません。
まずは心のありようを変えていかなければいけないということです。
私のクライアントには会社を経営している人が何人もいます。