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物流は世界史をどう変えたのか
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歴史
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第十章 パクス・ブリタニカはなぜ実現したのか

『物流は世界史をどう変えたのか』
[著]玉木俊明 [発行]PHP研究所


読了目安時間:12分
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世界最大の帝国になったイギリス


 オランダについで、世界史上二番目にヘゲモニー国家になったのは、イギリスであった。イギリスはパクス・ブリタニカ、直訳すれば「イギリスの平和」をもたらした。


 しかし、実際にはこの言葉は、イギリスがもたらした平和ではなく、ヴィクトリア女王の時代(在位 一八三七~一九〇一)に、イギリスが世界中に植民地をもつ大帝国になったことを表すことが多い。地図13にみられるように、イギリスの植民地はじつに広大であり、「日の没することなき」帝国となった。これこそ、パクス・ブリタニカの実像を示す。




 イギリスは、世界最大の艦隊をもつことで、パクス・ブリタニカを維持した。そして、この艦隊によって、世界の平和が維持された。だが、軍事力によってのみ維持されたわけではない。


 イギリスの勢力下にあったのは植民地や自治領だけでなく、政治的には植民地ではないが、経済的には植民地同然であるという地域もあった。中国やラテンアメリカが、それに該当する。それらは、イギリスの政治的支配に属した文字通りの植民地=「公式帝国」ではなく、植民地にはならなかったが実質的にイギリスの支配を受け入れたという意味で、「非公式帝国」と呼ばれる。


 他の欧米諸国も、イギリスほどではないが、植民地をもった。やがてそれには、日本も加わった。しかし、イギリス以外の国が、「非公式帝国」をもつことはなかった。


 これは、一体なぜなのだろうか。


 それは、イギリスが世界の物流の支配者であったからである。パクス・ブリタニカと呼ばれる時代にイギリスは世界中に艦隊を送っただけではなく、商船隊を送って、イギリス「帝国」を維持したのだ。


 イギリスはたしかに、世界最大の海軍を有した。それは、世界に広がる帝国を軍事的に維持するために必要であった。しかし、イギリス帝国は、決して軍事力によってのみ拡大したわけではない。イギリスが世界最大の商船隊を有し、グローバル化が進む一九世紀に、世界中の品物を輸送したということこそ、われわれが関心を向けるべき重要な事実である。


 一般的に、イギリスは一八世紀後半におこった産業革命によって世界経済の中心になったとされる。だが、イギリスの経済力が強くなったのはむしろ一九世紀後半のことであり、それは、かなりの程度、グローバリゼーションが進み、イギリスの蒸気船により、世界の商品が輸送され、人々が移動したからである。

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