『アメリカ・ユダヤ人の政治力』
[著]佐藤唯行
[発行]PHP研究所
主要メディアにおける高い占有率
アメリカのメディア産業はイスラエルに忠誠を誓うユダヤ人が支配しており、彼らはその立場を利用し、偏向報道を行なうことでみずからの政治力を強化してきたという非難がこれまで繰り返しなされてきた。こうした非難は果たして本当なのであろうか。この問題を検証してゆくために、我々はまず主要メディアにおける彼らの占有率から確認していこう。
メディア産業全体で働くユダヤ人の比率は決して少なくない。とりわけ主要メディアになればなる程、またこの業界で高い地位を占めるメディア・エリートになればなる程、ユダヤ人の占有率は鰻上りに上昇していくことが確認できる。
例えばユダヤ人は全米の新聞業界全体、それは発行部数数千部の田舎町の週刊新聞まで含めた数値だが、そこで働く人間の五パーセント強を占めているにすぎない。ところが、これが主要メディアになると占有率は格段に高まる。一九七九年の調査によると三大高級紙(ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナル)と三大高級誌(タイム、ニューズ・ウィーク、USニューズ・アンド・ワールド・レポート)、そして三大テレビ系列で働く全従業員の二七パーセントが、ユダヤ人もしくはユダヤ系の出自で占められていた(1)。
更に主要メディアの幹部クラスになるとその占有率は一段と高まる。例えば一九七九年、三大テレビネットワークのひとつABCでは、プロデューサーとエディターの実に五八パーセントがユダヤ人であった。同様の数値はスミス女子大学の政治学教授スタンリー・ロスマンによっても確認されている。彼が一九八三年に発表した調査結果によると、テレビ業界幹部(大手テレビ系列のプロデューサー、ライター、ヴァイスプレジデント級以上の管理職と独立系制作会社の社長を含む)の五九パーセントがユダヤ人であったと報告されている(2)。
同様の占有率は業界の顔ともいうべきメディア・エリートクラスでも確認されている。
例えばステータスを誇示するエリートたちの高踏的雑誌、『ヴァニティ・フェアー』が一九九四年十月に組んだ特集の中で、全米を代表する新興ニュース・メディア・エリート二四人のプロフィールを紹介しているが、その内の一二人はユダヤ人であった(3)。