読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
150
kiji
0
0
1196909
0
北京五輪後に何かが起こる
2
0
0
0
0
0
0
ビジネス
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第一章 中国グローバル化の光と闇

『北京五輪後に何かが起こる』
[著]青木直人 [発行]PHP研究所


読了目安時間:19分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


グローバル化は順風満帆ではなかった


 二〇〇一年十二月、中国は初めて国際的な貿易機関であるWTO(世界貿易機関)に正式に加盟した。数十年間にわたる交渉の結果、メンバー入りが認められ、国際経済と国内経済が完全にリンケージすることになった。

 だが中国のWTO加盟に関しては、中国共産党の指導部のなかでも、さまざまな対立や矛盾があった。

 そもそもWTOに加盟するメリットは、輸出を促進できることだ。そういう点では、いま中国の成長の主力となっている輸出貿易産業にとっては追い風の効果があり、非常にプラスである。

 けれども加盟することで同時に、中国もまた国際的な資本経済に対して国内を開放しなければならない。その結果、中国国内にこれまで以上に外国企業が進出してくることで、淘汰される産業が生まれてくる。わかりやすく言えば、WTO加盟によって国のなかにメリットを受ける集団とそうでない集団が出てくるのだ。

 具体的に、どういう影響があるかについて政府がまとめたレポートがある。WTO加盟直前に中国のシンクタンクの国務院発展研究センターが作成した「WTO加盟がわが国の製造業に与える影響と産業の将来」である。レポートのなかで取り上げられたのは、WTO加盟によって中国国内にある二四の業種、分野がどうなるかという予想である。長期的、中期的な見通しを含めて分析したもので、内容的に非常に説得力がある。

 内容を見ると、二四業種について、WTO加盟によってメリットを受けるグループと、壊滅するほどの打撃を受ける可能性のあるグループに分けられて、問題提起がなされている。

 メリットがある分野は一一分野、デメリットがある分野が一一分野。あとの二つはプラス、マイナスどちらにも転ぶ可能性があるという見方で、自動車と飲料水の産業が挙げられている。

 ちなみに、ここで紹介されているのはあくまで工業などの産業分野であって、農業については触れられていない。しかし、朱鎔基(しゅようき)首相(当時)がいみじくもこの時期に「私は中国の農業を守る自信がない」と発言をしたように、中国における農業分野は国際競争力がない。基本的に自営農業に近いので、おそらく西側から安価で質のいい農産物が入ってきたら、ほぼ壊滅的な影響を受けるであろう。

メリットを受ける分野、デメリットを受ける分野


 話を戻して、産業分野を分析した先のレポートを見ると、具体的に中国がWTO加盟によってメリットを受ける分野は、私たちが「メイド・イン・チャイナ」としてよく知る製品のオンパレードである。

 一つは、携帯電話などの通信機器。次にパソコン、電気機械、金属製品、それと衣類のアパレル、塗装、非鉄金属、非鉄金属鉱物およびバイクや家電製品。なかでも日本では、家電とパソコン、電気機械、アパレル製品が、中国の代表的な輸出品として知られている。

 この最大の特徴は、労働集約型であることだ。つまり優れた技術力ではなく、安い労働力をバネにしてモノをつくっていく。そういう分野だけが強い国際競争力を持っている。先進国の二〇分の一の人件費が最大の武器であり、それを生かせる産業分野こそが、WTO加盟による勝ち組なのである。

 逆に、悪影響を受ける業界としては、まず商品加工がある。特に食品加工は国際競争力を持たない。また石油加工分野や化学製品も同様だ。たとえば漢方で有名な中国の医薬製造も例外ではない。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:7826文字/本文:9228文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次