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忘れられたベストセラー作家
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序 章 「売れた」作家と「歴史に残る」作家

『忘れられたベストセラー作家』
[著]小谷野敦 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:12分
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「ベストセラー」というもの


「ベストセラー」というと、売れた本のことを言うのが第一義である。本以外の商品でも、意味的には「ベストセラー」ではありうるのだが、映画や音楽なら「ヒット作」などと言い、それ以外の家電やおもちゃについてはあまり言われない。私の手元に『1946-1999売れたものアルバム』(東京書籍)という本があり、よく参照している。これは、本、音楽、その他の三本立てである。


 英語でもベストセラーは本のことで、フランス語やドイツ語では英語を流用してやはり「ベストセラー」と言っている。中国語では「暢銷書」という。


 日本で、現代のベストセラー作家は、と訊いたら、五十以上の人は「赤川次郎と西村京太郎」と、自信なげに言う人が多いのではないだろうか。確かにこの二人は今でも現役で書いているし、西村など八十七歳になるのだが、売れてもいるのだろう。だがこの二人が記憶されているのは、一九八〇年代に、「文壇長者番付」の常連だったからで、長者番付(高額納税者)が二〇〇六年に発表されなくなって十年以上たつし、「金持ち作家」は、まあだいたい想像はつくけれど昔ほどはっきりと印象に残らなくなった。


 その後の作家で売れているといえば、東野圭吾、村上春樹、百田尚樹あたりかもしれないが、村田沙耶香の『コンビニ人間』などは、芥川賞受賞作とはいえ、純文学として異例の五十万部を売ったから、一四〇〇円で印税一割として計算すると七千万円になるが、一九八七年に『サラダ記念日』が二八〇万部売れた俵万智の納税額は五千万円台で、作家の第十位、中島梓の八千万円台に及んでいない。納税額は累進課税で半分くらいとられるから、中島梓は一億六千万円くらい稼いだと見られる。その年一位は赤川次郎で、六億四千万を納税しており、これだと八割くらいもっていかれているだろうから、収入は八億くらいか。ただし吉本ばななは純文学系でも、八九年に三位、二億三千万円台を納めている。


 昔はこういうのを見て、作家というのはみな儲かるのだと勘違いして、本を出したというと「印税ガッポガッポ」などと言う人がいたりしたのだが、最近は、儲かるのはごく一部の娯楽(エンターテインメント)作家で、純文学作家など悲惨なものだということが知られるようになってきた。

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