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日本国憲法を改正できない8つの理由
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生き方・教養
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第五章 あるべき内閣

『日本国憲法を改正できない8つの理由』
[著]倉山満 [発行]PHP研究所


読了目安時間:25分
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民主主義国家として誇るべき「憲政の常道」とは


 憲法改正において、本質的な変更をしなくていいのが、内閣の規定です。首相公選制を唱える人もいますが、論外です。不勉強! のひとことで終了です。


 当用憲法第五章「内閣」は、その制定過程において、GHQに対して日本側が主導して挿入しました。これを変えたいと言う人は、どういう了見なのでしょうか。もちろん当用憲法は「マッカーサーの落書き」を手直ししたにすぎないので、第五章の条文にも直したいところは山ほどあるのですが、首相公選制は論外です。アメリカ憲法に近づけてどうするのでしょうか。アメリカに近づくことが民主的だとでも思っているのだったら、考え違いもいいところです。


 まず、日本の降伏条件を定めたポツダム宣言をお読みください。



  ◎ポツダム宣言


  十、吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ(あら)サルモ吾等ノ()(りよ)ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラルヘシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ()ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ(しよう)(がい)ヲ除去スヘシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルヘシ



 よく読んでいただきたいのは、「民主主義的傾向の復活強化」であって、「民主化」ではありません。どう考えても、「日本人を民族として奴隷化」しようとしたとしか思えない占領軍も、戦前の日本に「民主的傾向」が存在したことは認めているのです。当用憲法が制定されたとき、「民主憲法」などと誇る人がいたのですが、別に戦前の日本がそんなに非民主的だったわけではありません。少なくとも、一九六五年まで黒人に参政権を認めていなかったようなアメリカ合衆国殿()にとやかく言われる筋合いはありません。


 これは強調しておきますが、アメリカ人に教わって初めて民主主義を知ったわけではないのです。


 日本の憲政史についてひとことでまとめると、幕末以来の努力の成果が帝国憲法であり、その(せい)()を「憲政の(じよう)(どう)」と呼びます。


 流れを簡単にまとめておきましょう。

「五箇条の()(せん)(もん)」にこう書かれています。



  ◎御誓文


  一 広ク会議ヲ(おこ)シ万機公論ニ決スヘシ


  一 上下心ヲ一ニシテ(さかん)(けい)(りん)ヲ行フヘシ


  一 官武一途庶民ニ至ル(まで)各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ()マサラシメン事ヲ要ス


  一 旧来ノ(ろう)(しゆう)ヲ破リ天地ノ公道ニ(もとづ)クヘシ


  一 智識ヲ世界ニ求メ(おおい)(こう)()ヲ振起スヘシ



 言うまでもなく、「五箇条の御誓文」は、明治新政府の発足にあたり、明治天皇が「皇室をお守りしてくださった神々に誓い、国民に示す」という形で定められました。


 だから、明治初期に藩閥政治家による「(ゆう)()専制」を批判する在野の勢力は、「五箇条の御誓文」の「広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ」を守っていない、と批判したのです。


 政府はこれに応える形で、十年かけて憲法を調査し、議会を開くと約束し、実行することになります。伊藤博文は「智識ヲ世界ニ求メ」て世界中の憲法を研究し、そのうえで日本の歴史と文化と伝統に則った帝国憲法を制定することで「大ニ皇基ヲ振起」したのです。


 そして、日清、日露の大戦争を、まさに「上下心ヲ一ニシテ」勝ち抜きました。ここに大正デモクラシーと呼ばれる民主的潮流が起こります。


 そのオピニオンリーダーであった吉野作造は、「維新の変革は元老たちがやった。その地位を取り上げようなどとは毛頭思わない。しかし、日清、日露の両大戦は国民一丸となって戦った国民戦争である。だから、国民に政治参加を認めるべきだ」と主張するようになります(『婦人公論』一九二四年十一月号「普通選挙の実施と日本政界の分布」を参照)。具体的には、元老と官僚だけが内閣を独占するのではなく、総選挙で示された国民の意思を尊重し、衆議院で多数を占める政党の総裁を総理大臣に任命せよということです。


 帝国憲法における総理大臣の任命規定は、第十条です。



  ◎大日本帝国憲法


  第十条 天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス


  但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ条項ニ()



 吉野をはじめとして、当時の日本人はひとりも帝国憲法の条文を変えろとは言いません。

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