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日本国憲法を改正できない8つの理由
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生き方・教養
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第七章 あるべき財政

『日本国憲法を改正できない8つの理由』
[著]倉山満 [発行]PHP研究所


読了目安時間:22分
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産経新聞改憲案の絶対に許せない条文


 こんな条文を見せつけられたら、これは命がけで戦うしかない。


 産経新聞改憲案を一読した感想でした。



  ◎産経新聞改憲案


  第九八条 国の財政は、国会の議決に基づいて、これを運営しなければならない。


  〓国および地方自治体は、将来の世代のために、財政の健全な維持および運営に努めるものとする。



 要するに、健全財政を憲法典に盛り込んだのです。「それの何が悪いのか」と思われたのなら、そんな方には憲法をいじってほしくない。健全財政を盛り込むくらいなら、当用憲法のままでいい。どうせ変える必要がないほどデタラメな運用しかしていないのだから、改悪されるくらいなら、当用憲法のままでいい。健全財政を憲法典に書き込むのだけは、命がけで阻止しなければならない。本気で、そう思います。


 感情を抑えて、理を尽くして説明しましょう。


 まず健全財政とはなんなのか。産経新聞改憲案を書いたご本人たちがわかっていないようなので代わりに説明しておくと、財政法第四条に書かれてある状態です。



  ◎財政法


  第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を(もつ)て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。


  〓前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その(しよう)(かん)の計画を国会に提出しなければならない。


  〓第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。



 第一項に書いてあるとおり、健全財政とは「原則として借金をしてはならない」という意味です。


 もちろん借金をしなくても財政が運営できるなら、それに越したことはありません。しかし、世の中には借金をしないことより大事なことはたくさんあります。借金をしながら運転している会社などいくらでもありますし、経済学には借金があるから人間は働くものだという考え方もあるのです。


 経済学ついでに言えば、「名目経済成長率が名目公債利子率を上回るかぎり、財政破綻は起きない」という公式があります。平たく言えば、借金の利子以上に稼いでいれば、なんの問題もないのです。


 そもそも莫大な「国の借金」の正体は、「政府の国民に対する借金」です。国民からすれば債権です。「国」と「政府」を同一視するなど、お(かみ)信仰もここに極まれりとしか言いようがありません。ここで言う「借金」とは、ヘソクリのやり取りのようなもので、外国から借りているギリシャとはまるで違います。ちなみに、戦時中の政府()(よう)(たし)報道映画を見ると、「戦争に必要なので、政府は公債という形でわれわれ国民から借金をすることになりました」と正直に言っています。ニュースで「とうとう国の借金一〇〇〇兆円」などと聞くと、まるでサラ金地獄のような印象を受けますが、これは戦時中の東条内閣すらやらなかった悪質なプロパガンダです。


 説明は以上。必要なときには借金をする。できなければ困ります。もう一度、財政法の第四条第一項を読み直してください。但書がついています。原則として借金をしてはいけないが、但書により、「必要があれば国会が許すかぎり借金をしてもいい」となっています。


 昭和五十年(一九七五年)以来三十八年間、原則を守ったのが三回だけで、例外が三五回で、おかしいではないかと思われるかもしれません。でも、原則は変わりません。その証拠に、三五回とも国会の承認を得ています。結果ではなく手続きを重視するのが法律の考え方です。


 それもこれも、財政法第四条の但書があるから必要に応じて借金ができるのです。

「だから、放漫財政になるのではないか」という批判はそのとおりですが、それは別の問題です。現実に公債を発行しないと財政は成り立ちませんし、不況対策では公債発行が必要な場合もあります。


 ところが、産経新聞改憲案をもう一度読んでください。

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