『子どもが育つ魔法の言葉』
[著]ドロシー・ロー・ノルト
[著] レイチャル・ハリス
[訳]石井千春
[発行]PHP研究所
我慢強いとは、どのようなことでしょうか。それは、現実を受け入れ、現実を認めるということです。ぐちぐちと文句を言いながら、いやいや我慢するということではありません。たとえ最悪の状況であっても、腹を決めて、できるだけの努力をするのです。そうすれば、きっと状況はよくなります。ベストを尽くせば、それだけで気持ちが明るくなります。そして、実際に、最終的にはよい結果が出るものなのです。
あと数日で六年生の新学期が始まるというときに、キーシャは脚を折ってしまいました。クラスのみんなが新学期を迎えているとき、キーシャは脚にギプスをして家でじっとしていなければなりませんでした。
この状況をどう捉えるかはキーシャ次第です。なんてみじめなんだろうと落ち込んでも無理のないことです。けれども、キーシャは、この現実を受け入れ、前向きに考えました。キーシャは、お母さんに手伝ってもらって、友だちを家に呼んでギプスパーティーを開くことにしたのです。ギプスに色を塗ったり絵を描いたりするパーティーです。学校の帰りに仲良しの友だちが何人かやってきました。そして、ギプスに絵を描いたり、クッキーを食べたり、レモネードを飲んだりしながら、楽しくおしゃべりしました。キーシャは、こうして、脚を折るという不運な出来事を、友だちとの楽しいひとときに変えることができたのです。
子どもは待つのが苦手
辛抱強く待つのは、大人にとっても簡単なことではありません。けれども、すぐに癇癪を起こしたり、イライラしたりすれば人に嫌われてしまいます。ですから、わたしたちは、我慢してじっと待つのです。
大人にさえ難しいことですから、幼い子どもにとっては、待つことはとても難しいことです。幼い子どもは、ほかの人がどう思うかということがまだ分かりません。ですから、周りにおかまいなしに泣いたり叫んだりします。また、まだ時間の観念がないのも、待てない原因の一つと言えます。「あとどのくらい?」「もう終わり?」「まだなの?」「いつなの?」。幼い子どもは、時間の経過というものがはっきりと理解できません。