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若い読者のための経済学史
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経済・金融
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14 騒々しいトランペット吹き

『若い読者のための経済学史』
[著]ナイアル・キシテイニー [著] [訳]月沢李歌子 [発行]すばる舎


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 第二次世界大戦がはじまってまもなくのある夜、ケンブリッジ大学キングス・カレッジの教授たちはドイツの爆撃から身を守るため、防空(ごう)に集まった。夜明けに空襲警報が解除され、無事に防空壕から出たが、みな目がしょぼしょぼで疲れきっていた。ところが驚いたことに、目の前の芝生で同僚のひとりがデッキチェアに悠然と座り、新聞を読んでいたのだ。この教授がイギリスの経済学者アーサー・セシル・ピグー(1877~1959)である。とても風変わりな学者で、よれよれの古い背広を着て、思考をとぎすますことになによりも情熱を注いだ。ピグーの師はヴィクトリア時代の偉大な経済学者アルフレッド・マーシャルである。マーシャルはこんにちの経済学者がいまでも活用している、市場に関する基礎的な理論をつくりあげた。そのマーシャルが天才と呼んだのが、弟子のピグーだ。


 ピグーは師の理論をさらに発展させた。とくに、市場が必ずしも完全ではないことを示した。経済学者の大半は、たとえ資本主義を最大限に信奉している者であったとしても、市場は失敗することがある、すなわち、経済資源を最大限に活用できないことがある、と考えている。「失敗」とは必ずしも大惨事や経済危機のことではない。たとえ経済全体は崩壊しないとしても、魚やガソリンといった、特定の市場が失敗することもある。ピグーは、市場の失敗とは具体的になにを意味するかを明確に示して、その過程で「厚生経済学(welfare economics)」という経済学の一分野の先駆者となった。厚生経済学では、個人が行う売買や労働に関する決定、企業が行う生産や雇用に関する決定など、あらゆる意思決定が社会に与える利益について研究する。それは「規範的経済学」〔前出1章〕という、市場がうまくいっているかどうかを判断する経済学の一派だ。

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