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若い読者のための経済学史
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経済・金融
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38 野獣化する銀行家

『若い読者のための経済学史』
[著]ナイアル・キシテイニー [著] [訳]月沢李歌子 [発行]すばる舎


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 2000年代も終わる頃、テキサス州サンアントニオで、ある女性が自宅の壁にペンキで大きな字を描いた。「Help!! Foreclosure!!(助けてよ! 差し押さえなの!)」家を買うために組んだローンが返済できないので、まさに銀行に家の所有権を取られそうに(つまり「差し押さえ」に)なっていたのだ。ロンドンでは、投資銀行リーマン・ブラザーズのしゃれたオフィスから、銀行員が自分のデスクにあった私物を詰めた段ボール箱を抱えて出てきた。リーマン・ブラザーズが倒産したのである。それは史上最大の企業倒産だった。2010年、アテネでは何千もの人々が、政府が賃金と年金を切り下げたことに激怒して、ギリシャの国会に押しかけた。抗議行動に参加した何人かが銀行に火炎瓶を投げ込み、3人が死亡した。数千マイル離れた場所で起こったこうした出来事はどれも、世界の金融システムの崩壊によって引き起こされた。それにより、2007年以降、世界経済全体が破綻したのである。これは世界金融危機(the Global Financial Crisis)、信用収縮(the Credit Crunch)、大不況(the Great Recession)などといった陰鬱な名前で呼ばれている。こんにちも、まだその復興の途上であり、いかに事態を改善するかが議論されている。


 この危機は大きな衝撃となった。経済学者にとっても、それは同じである。1990年代を通して、経済学者は、低インフレ率で着実に経済が成長する大平穏期〔34章〕を歓迎していた。いま振り返れば、あまりに(のん)()に思えるほどだ。だが、ときとして経済学者は従来の考え方から離れ、時代を先取りすることもある。アメリカ人のハイマン・ミンスキー(1919~1996)もそうだった。金融危機が起こると、すでに他界していたミンスキーが改めて評価されたのだ。このときなにが起こったのかについて、ミンスキーは伝統的な経済学よりも適切に説明している、と多くの人が考えた。

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