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最終解答 日本近現代史 幕末から平成までの歴史論争を一刀両断
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歴史
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第5章 世界史を日清・日露戦争の勝利が変えた

『最終解答 日本近現代史 幕末から平成までの歴史論争を一刀両断』
[著]八幡和郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:23分
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アジアの前時代的な国際秩序を、近代国際法に沿ったものに日本の国益を反映しつつ変えていくことに成功したのが明治外交の大きな成果だった。その過程での朝鮮王国(大韓帝国)の迷走が日清・日露戦争の原因だったこともあり、朝鮮が大国の狭間で犠牲になったというのは一面的な見方だ。



冊封体制は、日本だけのガラパゴス史観

× 東洋の国際秩序の基本論理は、冊封体制

○ 戦後の媚中学者が捏造した、中国や韓国にない考え方



 近代以前の東アジアの外交秩序は、中国を中心とする「(さく)(ほう)体制」で成り立っていたという説明を聞かされて信じている人が多いと思います。しかし、冊封体制という言葉は、中国の歴史教科書には出てこないし、韓国でもほんの少しです。ウィキペディアの中国語や韓国語のページを見て頂いても、書籍の1ページ分にも満たない記述しかありません。


 つまり、「冊封体制論」は日本だけのガラパゴス史観なのです。昭和37年(1962)に西(にし)(じま)(さだ)()という東大教授が提唱し、()(ちゆう)ブームに乗って定説化しただけです。


 冊封は、中国の皇帝が家臣に肩書きと任命書を与えて領土の支配権を認め、(あい)(さつ)にやってきたり軍役につく代わりに保護するという関係ですが、それと類似の関係を外国君主に当てはめたものです。


 しかし、中国と周辺国の関係は時代や地域によってさまざまですし、中国の主観的な位置づけが相手に共有されているとは限らず、また、冊封された国がたとえば(りゆう)(きゆう)王国時代の沖縄のように、別の国に支配されていることも多いのです。


 朝鮮では、新羅(しらぎ)が7世紀に日本、百済(くだら)(こう)()()の同盟に圧迫され危機にあったので、唐に対して(こよみ)、服装、人名まで唐風に従い半独立国となる条件で生き延びました。さらに、(ぼつ)(かい)攻撃に参加して唐がいったん併合した高句麗南部や百済の旧領を含めた半島の大部分を領土として認められた経緯があります。


 明や清の時代には、(せい)()と呼ばれる朝鮮の皇太子は前王が死んでも、中国の皇帝から任命を受けるまでは国王ではありませんでした。これは、ベトナムや琉球もそうでした。しかし、ベトナムは周辺国に対して逆の関係を強要していましたし、琉球は実態として〓摩支配にあり、朝鮮通信使も徳川将軍に対するゆるやかな上下関係を伴う(けん)使()でした。


 日中関係では、(なの)(こく)(おう)()()()()の五王なども、別に中国の皇帝から認められる前から王だったわけです。対外関係に有利なので、肩書きをもらっただけで継続的な冊封関係とは言えません。


 とくに5世紀の倭の五王の遣使の狙いは朝鮮半島の支配権を認めさせるためのもので、百済に対する支配権を中国が認めなかったのに(ごう)()やしたのか、日本から国交を断絶しています。


 遣隋使や遣唐使は、本当に対等の関係かどうかは別として、日本は唐の使節は西(せい)(ばん)の遣使として扱うという建前を崩していません。(かね)(なが)親王や足利(よし)(みつ)への日本国王としての冊封は、中国側もその上に天皇がいることを認識していたうえでの交流でした。


 いずれにせよ、日本は中国とは気ままに、必要があればときどき交流していただけで、朝鮮などと同じ意味で冊封関係にあったことはありません。チベットやモンゴルなどの諸国も、中国との関係は時代によって違いましたし、(なん)(そう)(きん)のように、中国の正統王朝のほうが目下と位置づけられていたこともあります。


 また、清は(まん)(かん)(もう)3民族を(たば)ねた満州人の皇帝の支配下にある国と名乗っており、単純に中華国家とは言えません。また、帝国とか王国という中国語はなく、英語のエンパイアなどを日本人が翻訳した言葉を、中国が日本語からの外来語として受け入れたものです。


 そうした多様な関係なのに、明や清と朝鮮のような濃密な関係が本来あるべき姿なのだというような言い方を日本の歴史学者がするのは、中国も恥ずかしくて言わないような政治的媚中歴史観をまき散らしているわけで、恥ずかしいことです。

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