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京都しあわせ食堂
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はじめに

『京都しあわせ食堂』
[著]柏井壽 [発行]PHP研究所


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 食堂は、普通に読めば〈しょくどう〉だが、寺方にある食堂は〈じきどう〉と読み、僧侶が日々の生活の中で、修行を重ねる場でもある。


 つまり、お寺の食堂は、ただ食事をするだけではなく、修行の場でもあり、更にはご本尊を安置する場所でもある。


 なぜ食堂で修行を積むのか。けっして手狭だからではないだろう。広い寺の境内にはほかにも修行の場がいくらもある。なのになぜ、食堂で修行するのか。


 ──食事はいのちの場──


 という考え方を仏教が持っているからである。


 魚、肉、人は誰もが、他の生命を奪い、それを食べることによって生きている。


 たとえそれが精進料理であっても、草木の生命を奪っていることに変わりはなく、食べることでしか生き長らえない人間としての宿命なのだ。


 なればこそ、食事はいのちの場となり、万物に感謝して食べ、生命の根源を()(いだ)そうとする。それは、人が人としてあり続けるための、心の持ちようだとも言える。人間が他の生物と一線を画すのは、〈食〉に対する敬意そのものであると仏法は教えているのだと思う。


 言うまでもなく、今の〈しょくどう〉は〈じきどう〉が変化したものである。


 明治以降、教育制度が急速に充実し、故郷を離れ、日本各地の高校、大学で学ぶ若人が増え、そのために寄宿舎や学寮が建てられ、学生たちは寝食を共にする。


 そしてそこで食事する場所を、寺方の〈じきどう〉に倣って、〈しょくどう〉と名付けたのである。すなわち本来、〈食堂〉というものは、研鑽を積む仲間が食を共にする場所だった。更に時代は移り、一般の飲食店も、この食堂という言葉を使い始め、大衆食堂、駅前食堂と変遷してきた。


 寺から学校、一般へと移り変わる中で〈じき〉が〈しょく〉になり、本来の精神をどこかへ置いてきてしまったのが、今の〈食〉の姿。


 希少な食材や、こだわりとやらを駆使した料理法ばかりが持て(はや)され、長い行列ができたり、予約の取れない店に好んで客たちが群れる。敬意の対象は〈食〉や〈いのち〉ではなく、料理人たち。


 今一度、食の本来の意を確かめるため、と言えば(いささ)か大げさだが、集いて食事をしながら、食べられることに感謝し、他のいのちを思いやるのに、食堂は最適の場である。


 何カ月も前からの予約も要らず、長い列に並ぶこともなく、ふらりと立ち寄って、美味しさを噛みしめながら、空腹を満たす。外での〈食〉というものは本来そうしたもののはずである。


 京都の街に溶けこみ、食を提供し、訪れた人々をしあわせにする食堂。京都に食堂があってよかった。一度でも訪ねれば、きっとそう思うに違いない。


 京都しあわせ食堂へようこそ。



食堂は生きています



 食堂は生きています。動いています。日々変化しています。


 定休日、営業時間、お品書き、価格。まったく変わらない食堂もあれば、常に変化している店もあります。


 本書の記述は、著者の実体験(おおむね2013~2016年)に基づくものですが、必ずしも最新のものとは限りません。したがって、消えたメニューがあったり、値段が違っていたりすることもあるかもしれません。(あらかじ)めご承知おきください。


 写真はすべて著者自身が撮影したものです。備忘録として撮ったものであり、取材撮影ではありませんので、多少のブレなどはご容赦ください。その日、その時のありのままを撮影したものです。


 以上をお含みいただいた上で、是非今の食堂の姿をご覧ください。食べてみてください。食堂が生きていることを、必ずや実感されるものと思います。

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