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(2021/11/26 追記)

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京都しあわせ食堂
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第五章 京都ならではの「中華食堂」

『京都しあわせ食堂』
[著]柏井壽 [発行]PHP研究所


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京都中華



 俗に〈京都中華〉という呼び名があるほど、京都の中華料理は独自の発展を遂げ、そして今、その流れは風前の灯火と化している。


 中国料理は、地方によっていくらか内容が異なり、それは大きく四つの地方に分けるのが一般的なようだ。北方、西方、東方、そして南方。このうち古くから京都に根付いたのは北方の北京(ペキン)料理と、南方の廣東(カントン)料理。とりわけ薄味で材料の持ち味を生かすといわれる廣東料理は、街場の中華料理店に広く浸透していった。シュウマイ、チャーシューなどの庶民にも身近な料理は今も〈京都中華〉のシンボルともなっている。


 和食の食材や調理法も取り入れ、あっさりとして胃にもやさしい中華料理は、()(がい)からも愛され、(ある)いは懐にもやさしいことから、学生からも親しまれ、ある意味で和食以上に、都人から親しまれ、発展を続けてきた。

「大三元」「平安楼」「鳳舞」。今はなき店を懐かしみながら、そんな薫りを今に留める店のいくつかをご紹介しつつ、新たな流れを作る店もお奨めしておく。京都でしか味わえないだろう〈京都中華〉を是非。


「中華処 楊」

中華風カツ丼とは?

▼▼▼MAP〓〓 



 ()(じよう)通は、東の「()(さか)神社」、西の「(まつ)()大社」を結ぶ、東西八キロほどの長い通り。観光客が訪れるのは、おおむね烏丸(からすま)から東と、あとは「松尾大社」近辺に限られていて、烏丸から(ほり)(かわ)西(にし)(おお)()へと至る四条通はほぼ観光客とは無縁の道筋である。


 つまりはこの界隈にある飲食店は、おおむね地元京都人に向けての店であり、一見したところ京都らしさをまったく感じさせない。


 四条堀川を少し東に入った辺りの北側に店を構える「中華処 (ヤン)」もそんな一軒で、吊り下げ看板が逆さ文字になっている辺りは、中国の〈倒福〉を(ほう)彿(ふつ)させ、本場の味を期待させる。


 さほど広い店ではない。店に入ってすぐ右手が(ちゆう)(ぼう)になっていて、カウンター席を挟んで、左手にテーブル席が奥まで続く。


 昼夜を問わず人気の店で、入れ代わり立ち代わり、()()み客がやってくる。テークアウトも人気なようで、あらかじめ注文しておいた料理を、自転車で取りに来るオバチャンもいて、まさに地元密着型の店。




 メニューも豊富で、一般的な中華だけでなく、季節の食材を中華風に仕上げた季節限定メニューなどもあって、食べ飽きないように工夫されている。


 夏場などは、京都らしく(はも)を使い、〈鱧の香味ソース炒め〉や〈鱧のチリソース〉など、この店でしか味わえないオリジナルメニューがある。これらはきっと観光客にも喜ばれるだろうと思う。鱧は和食のみにてあらず、がいかにも京都の店らしい。


 この店オリジナルの中華メニューは、ほかにもいくつかあって、その象徴ともいえるのが〈中華風カツ丼〉。


 一般的なカツ丼は卵でとじた和風味。他にもソースカツ丼や、カレー味のカツ丼、ドミグラカツ丼など、いわゆるご当地グルメとして、カツ丼のバリエーションはあれこれあるが、中華風のカツ丼を名物としている店は、意外に見当たらない。そしてこれが実に旨いのである。




 初めてこれを見たときは、普通のカツ丼かと思った。丼ご飯の上にカツが載り、その上から卵とじの(あん)が掛かり、グリーンピースがぱらぱら。


 と、しかし、食べてみると普通のカツ丼とはまるで異なる味わいで、言うなれば、(テン)(シン)(ハン)の餡にも似た味がカツを覆っているのだ。


 (パイ)(コー)(ハン)のアレンジなのかもしれないが、独自の味わいに仕上がっている。カラッと揚ったカツはひと口サイズにカットされ、そこに絡む餡は、中華風の味でありながら、どことはなしに和の風味も感じられ、何よりあっさり食べられるのが嬉しい。


 日本人にとって、カツ丼という料理は、限りないご馳走であって、なればこそ、ソース味にしたり、ドミグラスソースを絡めたり、更にはカツカレーだとかに仕立てて、ランチとしては、という限定であっても、最上級のご馳走としてきた。

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