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5分で涙があふれて止まらないお話 七転び八起きの人びと
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文芸
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長月 母ちゃんのコロッケ

『5分で涙があふれて止まらないお話 七転び八起きの人びと』
[著]志賀内泰弘 [発行]PHP研究所


読了目安時間:10分
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(しげ)(たに)(まさ)(ゆき)の弁当のおかずは、三年以上、毎日コロッケばかり。思わず「他のもん入れて」と頼んだら……。



「チェッ! また同じかよ~」


 この春、高校一年生になった茂谷昌幸は、大ぶりの弁当箱のフタを開けるなり、ぼそっと(つぶや)いた。そこには、小判型のコロッケが二つに、夕べの残り物のキンピラが入っていた。ギュウギュウ詰めの白いご飯の上には、梅干しが二つ。もう何日続いているだろう。コロッケ弁当が。


 昌幸の家は、商店街の精肉店だ。なんといっても名物は一個六十円のコロッケだ。昌幸は、母親の作るコロッケが大好きだった。サクッとした歯ごたえにホクホクの舌触り。〓みしめると、ひき肉の旨味がジワ~ッときてご飯がすすむ。部活から帰ると、夕食が待ちきれず、二個、三個と食べていた。毎日でも飽きない……と思っていた。だが、さすがに何年も続くと浮気心も起きてくる。


 クラスの連中の弁当を(のぞ)き込むと、(よだれ)が出る。それよりもうらやましいのは、購買名物ジャンボ焼きそばパンだ。四時限目が終わるとみんなが猛ダッシュで買いに行く。

「やっぱし焼きそばだな!」


 そう言い、いつも一緒につるんでいる奴らが()()そうに〓張った。青のりの匂いが、昌幸の鼻孔をくすぐる。しかし今日も、弁当の箱を開けるとコロッケが入っていた。



 その日の夕食時。昌幸は母親に頼んでみた。

「なあ~弁当だけどさぁ。コロッケじゃなくって他のもん入れてくれないかなぁ」


 実は、中学一年生の時にも「毎日、コロッケばっかしじゃん。他のもんが食いたいよ~」と言って父親に殴られたことがあった。

「バカヤロー! 母ちゃんのコロッケにケチをつける気か!!」と。

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