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近代日本を創った7人の女性
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ルポ・エッセイ
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序章として ── 二人の、ある女性の話

『近代日本を創った7人の女性』
[著]長尾剛 [発行]PHP研究所


読了目安時間:13分
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 さて、本章に入る前にプロローグとして、ある二人の女性のドラマを対比して語ってみたい。


 その二人は、ともに「日本女性」として大いなる才覚とバイタリティとを持ち合せながら、あまりに対照的に、不幸と幸福のそれぞれの道を歩んだ。


 その二人の人生の差は、どこにあったのか。


 それをまず確認することは、本書を、より深く楽しんでいただくために、きっと必要だと、筆者には思えるからである。



 第一の女性。


 (えん)(どう)(きよ)()(一八八二~一九二〇)という。



 明治大正期の女流作家にして、男尊女卑の近代日本に(かん)(ぜん)と立ち向かった婦人運動家であった。



 清子は、近代女性の自立を高らかに宣言した、あの女性雑誌『(せい)(とう)』(明治四十四年創刊)の立上げメンバーの一人でもある。


 直情的ながら行動力と自立心の優れた女性で、「大阪日報」の記者などを勤めながら、当時の「婦人参政運動」をリードしたりもした。


 その清子が、当時の流行作家だった(いわ)()(ほう)(めい)(一八七三~一九二〇)と心()かれ合い、(どう)(せい)を始めたのが、明治四十二年(一九〇九)。正式に結婚したのが、大正二年(一九一三)である。



 この夫婦、当初こそ先駆的な思想の持ち主同士、それなりに(なか)(むつ)まじかった。


 が、やがて泡鳴の女癖の悪さが(たた)って、両者の関係はすっかり冷え切ってしまう。泡鳴は浮気相手の女の所に入り浸って、清子の待つ家に戻ってこなくなった。


 ここで、お決まりの「男に(しいた)げられる女」だったならば、ヨヨと泣き崩れてひたすら耐えるだけ。──というのが相場だろう。だが、清子は()(ぜん)、行動に移す。それこそ「泡鳴との戦い」のノロシを上げたのである。


 清子は、

「私は、岩野泡鳴の『妻である権利』を法律的にも実質的にも、断固として求める」


 と訴えて、夫が妻と同居することや子供の養育費(この時、両者のあいだには子がいた)を夫が負担することを、なんと裁判所に訴訟請求したのである。


 これでビックリ(ぎよう)(てん)したのが泡鳴だ。元来が(せつ)()主義者で自由恋愛主義者の泡鳴にしてみれば、自分の浮気など「悪いこと」などとはコレッポッチも思っていなかった。それで、

「男は仕事をするうえで必要となれば、妻のもとから離れることもある。

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