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発達障害と結婚
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第一章 なぜか「結婚できない」あなたへ

『発達障害と結婚』
[著]吉濱ツトム [発行]イースト・プレス


読了目安時間:40分
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その原因は「発達障害」かもしれない


 結婚や婚活について、僕が考える社会状況については本章の中盤でお話しすることにして、まずは発達障害の定義について確認しておきましょう。


 発達障害というのは脳の器質障害を原因とする発達の異常です。コミュニケーションが苦手、暗黙のルールを理解できない、ミスが多いといった症状により、社会生活に困難を生じることがあります。日本人に多いのはアスペルガー症候群ですが、自閉症や注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)も発達障害に含まれます。


 WHO(世界保健機関)が発行したICD((しつ)(ぺい)及び関連保健問題の国際統計分類)第一〇版(ICD‐10)では、アスペルガー症候群は自閉症などと同じ「広汎性発達障害」に含まれるとされています。


 広汎性発達障害とは、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、興味・関心のかたより」といった症状がある発達障害です。このうち言語障害があるものを自閉症、言語障害と知能の遅れがないものをアスペルガーに分類します。二〇一七年現在、日本の厚生労働省による「疾病、障害及び死因に関する分類」は、このICD‐10二〇一三年改正版)に準拠しています。


 一方で、アメリカの精神医学会が発行しているDSM(精神障害/疾患の診断・統計マニュアル)では第五版(DSM‐5=二〇一三年)から「アスペルガー症候群」という名称がなくなり、ASD(自閉症スペクトラム)の一部とされました。

「スペクトラム」というのは連続体という意味です。自閉症とアスペルガー、その他特定不能の広汎性発達障害などは境界があいまいであること、またADHDとアスペルガーには重複する部分もあるということをDSM‐5は示しました。つまり、「ここからここまでが自閉症で、ここから先はアスペルガー」といった明確な線引きはできないということです。


 日本では、このDSM‐5を診断基準としている医療機関もあれば、そうでないところもあります。


 たしかに、アスペルガーとADHDの症状をあわせ持つ人はよくいます。僕自身も、強いアスペルガーでありながら、多動衝動性優勢型のADHDも併発しています。


 アスペルガーと自閉症とADHDには共通する症状がたくさん見られます。しかし、アスペルガーは真面目で(しやく)()(じよう)()な「コミュ障」であるのに対し、多動衝動性優勢型ADHDは社交的で明るくズボラと、表面的な特徴には大きな違いが見られます。そのため、僕はカウンセリングを行う際にアスペルガーと自閉症とADHDを区別しています。本書でもこの呼び名を使用していきますので、ご了承ください。



「アスペルガー」型発達障害の特徴


 日本人に最も多い発達障害がアスペルガー症候群です。真面目な勉強家で、ルールを守ったりマニュアルどおりに動いたりすることは得意ですが、融通がききません。まさに日本人の国民性そのものといえるでしょう。


 発達障害には医療機関で診断が下りるほどの症状はないものの、多分にその傾向が見られる「グレーゾーン」と呼ばれる人たちがいます。グレーゾーンには定型発達(発達障害ではない人)寄りの人もいれば、発達障害に近い人もいるわけですが、ゆるめに見積もれば、日本には二〇人にひとりぐらいの割合でグレーゾーン・アスペルガーがいるのではないかというのが実体験からくる僕の個人的見解です。


 アスペルガーには大きく分けて三つのタイプがあります。日本人にいちばん多いのは受動型で、次に多いのは孤立型。積極奇異型は日本人にはきわめて(まれ)です。


受動型


 基本的にコミュニケーションが苦手です。自分から人に話しかけることはありませんが、話しかけられたら丁寧に対応します。真面目で誠実なので、頼まれごとをされると一所懸命に期待に応えようとします。


 メールやLINEなどでのコミュニケーションは用がなければ自分からは発信しませんが、メッセージを受けとればきちんと返信します。


 本当はひとりで過ごすのが好きなのですが、他者の目が気になるため、頑張って周囲に合わせます。努力のかいあって、気がきく、やさしい、聞き上手という好印象を持たれることが多く、アスペルガーであることを見逃されがちです。


 かなり無理をして周囲に合わせているため、鬱や睡眠障害などの精神疾患に陥ってしまうことがあります。


孤立型


 他人のことにまったく関心がありません。受動型と同じ「コミュ障」であっても、コミュニケーションが苦手というよりは、そもそもコミュニケーションの必要性を感じていないのが孤立型です。


 何か誘いを受けても応じることはまずありません。ひとりでできる仕事を好み、必要がなければあまり話をしないため、気づくと「今日は誰とも口をきかなかった」ということも。


 興味の対象が非常にかぎられてはいますが、興味のあることにはとことんのめり込みます。子どものころに特急列車の名前をすべて覚えた、世界中の国旗を覚えた、というような人は孤立型である可能性が高いでしょう。


積極奇異型


 日本人にはきわめてめずらしいタイプです。落ち着きがなく、いつでもハイテンションなのが積極奇異型アスペルガーの特徴です。主だった症状が多動衝動性優勢型ADHDに似ているため見分けが難しく、医師でも診断を間違えてしまうことがあります。


 感情のコントロールが苦手で、想定外の出来事にあうとパニックに陥ることも。怒ったり、笑ったりと、感情の変化が激しく、空気を読めず、自分の世界に浸りがちです。


 世界の中心は自分だと思っている(ふし)があり、自分さえ楽しければよく、人目を気にしません。しかし、深い絶望感を隠し持っており、ひとりになると別人のように沈んでしまうことがあります。(そう)と鬱のギャップが激しく、精神的な安定感がありません。


「ADHD」型発達障害の特徴


 ADとはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略です。不注意、多動性、衝動性の三つの症状が見られます。ミスが多いとか、飽きっぽいとか、誰にでも多少思い当たるような軽めの症状が主体となっています。そのために発達障害であることが見落とされがちで、大人になってから診断されるケースが非常に多いのが特徴です。


 ADHDの症状には大きく分けて「多動衝動性優勢型」「不注意優勢型」、そしてこの二つの症状が混在する「混合型」の三つがあります。


多動衝動性優勢型


 とにかく落ち着きがありません。年齢が低いほど症状が顕著に表れます。授業中にやたら体をゆらゆらさせたり、机をバンバンたたいたり、しまいには座っていられずに立って歩き回ったり。周囲が目に入っておらず、チョウチョを追いかけて車道に飛び出してしまったりすることもあります。


 決められた作業をきっちりこなすことが苦手で、なぜかいつもマニュアルとは違うことをしてしまいます。片づけも苦手で、デスクや部屋はいつもぐちゃぐちゃ。気が短く、すぐに結果を求めたがります。


 大人になっても子どもっぽさが抜けません。症状が子どもの特徴と非常に似通っているため、よほど症状が強くないかぎり、早期発見は困難です。「子どもって、そういうものだよね」と見逃されてしまいます。

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