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発達障害と結婚
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第二章 発達障害者の婚活がうまくいかない理由

『発達障害と結婚』
[著]吉濱ツトム [発行]イースト・プレス


読了目安時間:32分
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相談① ADHDで彼との会話がうまくできない

「先生、私、どうしたらいいでしょう?」


 発達障害改善プログラムの効果が出始めた矢先の相談でした。多動衝動性優勢型ADHDの和美さん(三二)は保険のセールスレディーをしています。「もう終わりだわ」と、いまにも泣き出しそうな表情です。

「何が終わりだと思うの? くわしく話してくれるかな」


 僕が尋ねると、和美さんは一気にまくしたてました。

「この前のデートのとき、新宿の(ほし)()(コー)(ヒー)に行ったんです。星乃珈琲ってスフレパンケーキが有名で、二段重ねにしたいんだけど、吉濱先生が糖質を控えろっておっしゃるから、デートのときは一段を二人で分けてるんです。偉いでしょ。で、パンケーキを食べてるときに、彼はブレンドを飲んでたんですけど、そしたら、彼が三万円もするコーヒーメーカーを買ったとか言うから……」


 和美さんの話はデートで楽しく話していると、いつも彼が突然怒り出してしまうという内容でした。これは多動衝動性優勢型ADHDの女性に多いトラブルです。よく「女性の話はあちこちに飛び、要点がわからない」と言われますが、多動衝動性優勢型ADHDの人は、これがさらに極端に表れるのです。


 話の主題に関係ない周辺情報ばかりを詳細に説明する。話の主語が頻繁に入れ替わるうえに、主語を省略する。質問されてもそれに答えず、関係のない話が延々と続く。これでは話し相手がうんざりしてしまうのも無理はありません。


 多動衝動性優勢型ADHDの人は頭のなかがつねにくるくると動いているような状態にあります。情報が体系的に整理されておらず、とっ散らかっているのです。それを思いつくまま言葉にするため、このような話し方になってしまいます。


 和美さんの場合も、彼がいつも「何が言いたいんだよ」と怒り出すといいます。和美さんの恋愛は、いつもこれが原因で終わってしまうのだそうです。


 今度こそ結婚したいと思っている和美さんとしては、彼に捨てられるわけにはいきません。


一 コミュニケーション能力が低い




 発達障害を持つ人は、その症状が災いして婚活がなかなかうまく進みません。定型発達の人たち同士で次々とカップルが誕生し、婚活というフィールドから去っていきます。残されるのは発達障害を持つ人ばかり。


 すでに婚活を始めている人は実感していると思いますが、婚活で知り合う人というのは仕事や日常生活で出会う人たちより変わった人の割合が多いのです。それは発達障害を持つ人、またはグレーゾーンの人たちが濃縮されていくからだと思われます。


 では、なぜ発達障害者の婚活は難航してしまうのでしょうか。


 発達障害を持つ人は基本的にコミュニケーションが上手ではありません。アスペルガーの人は雑談が苦手です。そして、多動衝動性優勢型ADHDの人はおしゃべり好きですが、話が要領を得ませんし、不注意優勢型ADHDの人は会話のペースについていけません。


 デートやお見合い、パーティーなどで最も重視されるのがコミュニケーション能力です。結婚生活自体を楽しむというのがイマドキの結婚スタイル。コミュニケーションがまともにとれないようでは、一緒の生活を楽しむことなど想像できません。


 また、お見合いの席で会話が弾まなければ、良いところも悪いところも伝わりようがありません。「また会いたい」と思ってもらえるはずがないのです。


初対面の相手が苦手


 初対面というのは誰でも緊張するものですが、発達障害の人はその緊張が度を越しています。初対面の人が目の前にいるだけで精神的にいっぱいいっぱい。鼓動は速くなり、汗が噴き出し、言葉が出てこなくなって、話はしどろもどろ。あまりに緊張するため、その場を逃げ出したくなり、さっさと会話を切り上げようとする回避行動に出てしまうこともあります。


 当たり前ですが、婚活では初対面の相手と話すことは避けられません。初対面が苦手だなどと言っていたら、いつまでもパートナーは見つからないのです。初対面の人との会話に慣れるには、とにかく試行回数を増やすこと。たくさんの相手と会って経験値を積んでください。


 はじめのうちは当然、断られ続けるでしょうが、そこでいちいち落ち込んではいけません。「また断られた。これで五回目だ」と失敗体験としてカウントするのではなく、「とりあえず練習だと思って、デートを二〇回してみよう」「これで五回目」「今回は同じ人と三回もデートできたぞ」と一つひとつの経験を“試行回数を増やす”という目的の成功事例としてカウントしていきましょう。


 前向きな気持ちで場数を踏んでいけば、初対面への苦手意識はどんどん薄れます。


そもそも会話ができない


 会話が苦手という状態を通り越して、まったく会話が成立しないという状況の人がいます。相手の話を覚えておくことができず、話の内容を理解できない。同じ質問や話題を繰り返してしまう。これらは発達障害の症状として見られるものです。


 仕事に支障をきたすことも多いので、本人にも自覚はあると思います。これは短期記憶が弱いために起こることです。会話というのは話の内容を理解し、それを積み重ねることで成立します。

「母が栃木に住んでいるんです。先週、実家にいる兄の出張中に大雪が降ってしまって、しかたなく雪かきをしたらしいんですが、無理してぎっくり腰になっちゃったんですよね。昨日電話したら、まだ痛むって言ってました」という話を聞いたとき、ぎっくり腰になったのが話し手のお母さんであることは誰にでもわかります。これは栃木に住むお母さん、大雪、雪かき、ぎっくり腰という話を覚えていて、それらの情報を積み重ねて理解しているからです。


 短期記憶の弱い人は前の話を次々と忘れてしまいます。ぎっくり腰になったのが誰なのか、どうして腰を痛めてしまったのか理解できません。話が長くなればなるほど前提となっている情報をつかみ損ね、話についていけなくなってしまうのです。

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