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あなたの身を護る「危機管理大全」 日本人の全リスクに対応できる1000の視点
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第3部 犯罪対策のすべて

『あなたの身を護る「危機管理大全」 日本人の全リスクに対応できる1000の視点』
[著]柘植久慶 [発行]PHP研究所


読了目安時間:2時間25分
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 犯罪のない世界など絵空事である。いくら善意の人間でも、被害者とならない保証など全くないのだ。


 自分と家族、そして周辺の者を護るには、普段からそれなりの心配りと備えが必要なことを、決して忘れてはならない。国家の軍備と同様、(おこた)ったことが()(たん)にと〓(つな)がる。


 準備のレヴェルには、子供でもやれる範囲のものから、高度な技術を求められるものまで、いろいろ数多く存在する。それらから自分の身の丈に合った、防衛手段を()(いだ)してゆけばよい。


 また自分の選んだ複数の手段については、ただ頭のなかの存在であってはならない。一週間に何度か実際にやってみて、その場に臨んだら自然と繰り出せる、そうしたレヴェルに皆さんのスキルを到達させてほしい。


28 身近なセキュリティ


0264

戸締まりを常識としよう



 一軒の家が安全を確保されるには、玄関などの戸締まりが不可欠である。凶悪な犯罪者がいったん屋内に侵入したら、多くの場合全員が殺傷される()()となる。『八つ墓村』のモデルになった一九三八年の事件はこのケースで、実に三〇人が殺害されてしまった。


 地方の集落や都市部の家屋密集地では、隣近所の交流が密なため、玄関などに()(じよう)しないケースを多く()(いだ)す。また一般家庭でも家族の帰宅時間が(まち)(まち)で、皆が帰ってくるまで完全に施錠しない家もあるようだ。


 二〇〇〇年の世田谷区の一家四人殺しをはじめ、愛知の中国人による三人殺傷、山口の集落での集団殺人、あるいは二〇一五年のペルー人による六人殺しが、すべて玄関からの侵入であった。二〇一二年の〓()()のストーカー殺人は、たった一ケ所未施錠の窓からの侵入者によって引き起こされた。


 犯罪防止の第一歩──それは注意深く戸締まりをすることであろう。


0265

警察官を無条件で信用するな



 警察官は市民を犯罪から護ってくれる、という頼りになる存在である。それが揺らいだのは一九七八年に発生した、世田谷区の女子大生殺しだった。


 近年も二〇一五年になって、大阪市の不倫相手の殺害事件や、埼玉県での金庫を狙った強盗殺人などは、私たちを(しん)(かん)させた。勝手を知った一般人の家での凶行だから、信頼を裏切った行為と言えるだろう。


 これについては私たちの考えを変えねばならない。一定以上の人数を有する組織には、ある確率でクズが存在するということだ。


 対策は、家屋の外で対応する、という一点に尽きる。とりわけ単独行動──一人で訪問してきた場合、名目は何であれ警戒せねばならない。警察官の行動は二人一組、というのが原則だからである。


0266

相手から目線を切らない



 私は日本人の欠点が、相手と対した場合、目線を切ることにあると考えている。得体の知れない敵──とりわけ初対面の相手にも、側面を(さら)したりという無警戒ぶりだから、ただ(あき)れるほかない。


 TVのスリラーやサスペンス番組を観ても、呼び出されて夜の神社の(けい)(だい)にノコノコ出かけ、石段から突き落とされ殺される。再放送番組のなかで、年に一〇作から二〇作、そんな愚にもつかない作品があるのだ。


 相手から目線を切らないといっても、真正面から相手の目を凝視するわけではない。全身を漠然と視野に(とら)え、すべての動きに反応できる態勢に入る。これは私だけではなく、あの剣聖──宮本武蔵(むさし)の目線がそうだった。特定の箇所に注ぐのは、決定的な一撃を加えるときだけである。


0267

警戒心



 女性や体力のない男性の場合、自分の身辺について、強い警戒心を抱いている必要がある。先制攻撃を受けたらひとたまりもないからだ。


 とりわけ女性は、深夜の帰宅に常に危険が伴う、との認識を持つべきだろう。アルバイトの帰途にコンビニあたりで目をつけられ、そのまま自宅の場所を知られたり、一緒に付け入られたりといったケースが見られる。


 イアフォーンで音楽を聴いたり、携帯やスマホを使用しながら歩く行為は、注意力散漫になるので避けねばならない。尾行されても気づかない危険性が大だからである。


 暗い近道を通らず、多少遠〓りでも明るい道を帰るべきだ。尾行されたら携帯やスマホを撮影可能にし、路上の何かをワンショット、撮影することで警告する。


0268

玄関先の安全



 女性がいる家庭は、玄関もまた重要なポイントとなってくる。宅配便などの配達を装った犯罪者が、応対に出た途端、凶行に及ぶという危険性があるからだ。


 こうした場合、玄関口の様子を見られるカメラつきのインターフォンが、どうしても不可欠となる。覗き窓では光線の具合で、覗いているのが露見してしまうからである。


 そうした設備がない部屋(家)の場合は、身辺に何か問題があれば、()ぐに応対に出ず不在連絡票を利用する、という方法を採ればよい。これなら指定した時間帯に再配達されるので、呼出音が鳴っても訪問者の見当がつく。


 ホテルのセキュリティ・チェーンと同様、家庭の玄関チェーンもまた、体力抜群の相手には突破されることがある。そのあたりにも留意しておきたい。また男物の革靴かジョギングシューズを一足か二足並べて、来客を装うのも悪くないだろう。


0269

カーテンの重要性



 室内の様子を外部の者に知られないことは、セキュリティにとって極めて重要である。安全対策の第一歩だからだ。


 レースのカーテンは、外が明るい昼間ならともかく、夜に室内が明るくなると、一挙手一投足が丸見えになってしまう。その意味からももう一枚、厚手のカーテンが不可欠と言えるだろう。


 この厚手のカーテンは、閉じておくとガラスの破片の飛散を防いでくれる。最近になって多く発生する竜巻、あるいは爆発などの衝撃波からの安全性を高めるのである。


 スティール製の雨戸やシャッターのある場合は、カーテンは薄手またはレースで十分、と言える。これなら近くの火災の火の粉や強風にも、かなりまで耐えられるはずだ。


0270

屋内に侵入されたら



 不意に室内に侵入された場合、(どう)(てん)する人が(ほとん)どだろう。それに対処するには、女性だとかなり難しい。やはり水際での阻止しかない。抵抗するにはどうしても武器が必要となってくる。


 男性なら夏物掛布団があれば、それで刃物に対抗できる可能性が大きい。綿の入った布団なら、ピンと張っていない限り、刃先が貫通することはない。


 これだけだと反撃に転じるのが難しいので、(こん)(ぼう)を一本、準備しておきたい。長さは身長の三分の一ぐらいが望ましい。(かし)など硬い木なら、椅子の脚部でも構わないのである。


 何故五〇~六〇センチ程度かと言えば、室内での使用に限られるからだ。長過ぎると意外に何かに妨げられたり、障害にぶつかるためにほかならない。これは使う人の腕力によって、長さ調節をしておこう。


0271

〓品を武器にする



 これといった防備のための武器を用意していない一般家庭にも、ここ一番の勝負所で役立つ小道具がいくらでもある。問題は(とつ)()の場合、何をどう活用するか思いつくかどうかだ。頭の〓(かい)()〓がるかどうかの勝負となってくる。


 キッチンには、フライパンという強力な武器があり、頭部、()(こつ)(ひざ)(がしら)(すね)、足首、足の甲への一撃が極めて効果的となる。洗剤や(ラー)()なども額を狙えば目に入る。マスタードを目にという(すべ)もある。


 居間に戦場が移っても、アフターシェーヴ・ローションのような化粧品のガラス瓶、単一か単二の乾電池、それ以外の重量物もまた、投げつけることで有力な武器に化ける。


 皿一枚、丼一個にしても、上手に割って布巾で巻き手に握れば、相手の目や首筋を切り裂き、戦う力を奪える。すべて使う人間次第なのだ。


0272

ヴェランダに侵入されたら



 アパートやマンションのヴェランダは、侵入者が入りこむ公算が極めて大である。とりわけ人通りの多い道路に面していなかったら、そこに(ひそ)んで時機を待つだろう。


 女性の一人暮らしだけでなく、誰しも就寝後に侵入されたら、危険な状況を招く。人間は予想だにしない局面に臨んだら、頭の〓路が〓がらないものなのだ。


 そこでヴェランダには細工が必要となる。戦国時代の知恵──(なる)()を、外から見えないように仕掛け、相手を驚かせしめる。同時に自分への警告となる。


 またガラス製のビール瓶や飲料水の瓶を置いておけば、足にひっかけて音を発する可能性がある。この家は何しろ防犯意識が高い、と思わせるだけでも効果十分と言えよう。


0273

侵入者への抵抗策



 気づいたら侵入者が室内に、というケースも珍しくない。大半の場合、侵入者は何らかの凶器を持っていることが多い。つまり殺傷される危険性大と言えよう。


 このため私の場合でも、枕の下に刃渡り二七センチの狩猟用ナイフ、それにベッドの〓間に六〇センチの樫の棒を隠してある。


 戦い方の手順は、まず一つ(はな)()()を吸い、頭に酸素を供給する。それから枕を左手に相手との間隔を保ち、右手で棍棒かナイフを持ち、殆ど最初の一撃でコンタクトさせる。


 距離が近いので()み合いになることも想定し、そのときは頭突きを繰り出し、上に注意を集めてから(ひざ)()りでダメージを与える。ダウンさせても攻撃は続行させ、()(かん)に決定的な打撃を加え、完全に失神させてしまう。中途半端で放置すると、思いがけぬ逆襲を〓()らうからである。



0274

室内は暗く



 室内を必要以上に明るくしていると、カーテンによっては内部の様子が、手にとるように判ってしまう。一人か複数か簡単に見抜かれて、相手に先手を奪われることとなる。


 就寝時に部屋を明るくしておく人があるが、これは侵入者に手を貸すも同然と言える。だから絶対に暗い状態を保っておかねばならない。


 アパートやマンションで、キッチンの方から外の光が入ってくる場合には、侵入者から見て暗がりになる場所を心得ておき、そこに潜んで迎撃すればよい。


 攻撃は膝から下に第一撃を加え、足を止め前のめりにさせておいてから、後頭部に第二撃を加える。ノーガードのところへの(とど)めだから、効果抜群のものとなろう。死んだふりがあるので、必ず止めの一撃が必要だ。


0275

殺虫剤は武器になる



 噴射式の殺虫剤は、蚊などの害虫を退治する以外に、対人攻撃という有効極まりない使途がある。単純に相手へ向けて噴射するだけでも、目を開けていられないから、そこへ前蹴りをかけ股間、膝頭、脛、足首を狙えばよい。


 もし手元にライターがあれば、それはより強力な武器と化す。ライターをできるだけ前方に突出させ、点火したところに殺虫剤を噴射したら、火炎が一・五メートル先まで到達する。噴射はフルパワーかストップかで、中途半端に加減した使い方は厳禁だと言える。


 標的とするのは、やはり相手の顔面だ。けれど警戒して上半身を退()いていたら、突出した手などに火炎を浴びせればよい。手が後退すれば自然に顔へ届きやすくなる。頭髪や長く伸ばした(あご)(ひげ)は燃えやすいので、それも頭の片隅に入れておくと、攻撃の幅が広くなるのだ。


29 撲殺されないために


0276

パンチの殺し方



 素手で(ぼく)(さつ)できるような人間は、プロボクサーか空手家でもない限り、なかなかいないと思われる。ましてや遭遇する機会など、まずないに違いない。


 しかしながら大柄な外国人や体重八〇キログラムを超える重量級の人間からまともにパンチを受けたら、かなりのダメージを(こうむ)るのは確実と言えよう。


 そうした場合、決定的な打撃を避けるには、テクニックが必要とされる。それには相手の動きをよく見て、フットワークを用いて同じ位置に(とど)まらず、飛んでくるパンチに対し顔を遠ざけ()けるのだ。


 もちろん単に後退するだけでなく、()(かん)(ひざ)(がしら)を狙った(まえ)()りを繰り出し、〓(けん)(せい)を欠かしてはならない。


 またパンチが飛んできたと思っても、その瞬間に位置をスライドすることで、威力を最小限に(げん)(さい)したい。これは(てのひら)で軽くぶつけるだけでも達成できる。


0277

棍棒の攻撃



 (こん)(ぼう)を手にした相手は、十二分に気をつけねばならない。その強度によっては、一撃で致命的なものとなるからである。


 ただし重さのある(かし)などの棍棒は、振りがどうしても鈍くなるので、一度(から)振りしたところを付け入って、体当りや下半身へのタックルで転倒させたい。有利な武器を持っていると、自分が倒されることを考えていないから、後方へ(あお)()けにひっくりかえるだろう。


 振りの速い軽い木のときも、一度空振りさせておいて、思い切って突っこむ。


 もしもう一撃を加えてきても、軽いため威力が少ないので、被るダメージも(はる)かに少ない。


 相手の棍棒に威力ありと見抜いたら、付近にある何かしらの武器を手にしたい。石とか投げつけられる代物を手にできたら、それを機に反撃に転じたい。


0278

洋服やタオル一枚が



 ある程度以上の長さを有した金属バットや棒の(たぐい)による攻撃は、一撃で致命傷を被ることが()()される。まともに命中したら骨折間違いなしだ。


 こうした危機に直面した場合、ジャケットかバスタオルが手元にあると、振り下ろしてくる武器に対して拡げてトスすれば、その速度は減速してしまう。


 同時に相手と自分のあいだが拡がることで、ブラインド効果が生じるのである。タイミングは振り始めで、まだ加速が生じていないところがよい。


 このときを狙って相手の側面から組み付き、下半身へのタックルで横転させたい。いったん膝の()ぐ上に接触したら決して相手を放さず、武器を無力化することが必要となる。


 首尾よく耳を(つか)めたら、(ひね)りながら自分の(ひじ)を利用して下へ引けば、意外と簡単にスッパリ切り落とせる。襲ってきた相手は、激痛で攻撃どころではなくなるから効果的と言えよう。


0279

相手へ一気に近接する



 棒などを持った相手には、振りかぶったときを狙い、一気に距離を詰めると体当りに出る、という戦法がある。これは一番力の入る地点を避け、中途半端な位置でしか(なぐ)れない、という相手の武器の欠点につけいるのだ。


 棒などによる打撃は、両腕が伸び鋭角三角形ができることで、大きな威力を生む。三角形が鈍角だったり、肘が曲がっていた場合、威力は減殺されることになる。


 効果的な武器を持った攻撃者は、すべてに攻撃が優先し、意識が極めて限定される。全く(ぼう)(ぎよ)など眼中にない。そこへ(うち)(ぶところ)に突入されたら、まず防禦に入れないのは間違いないと言える。


 いったん内懐に到達できたら、(あご)に頭突きを〓()らわせたり、股間を掴んで体重をかけ引く、などといった技を使いたい。これらはどちらも一発で相手を失神させられる。


0280

ゴルフのクラブは危険



 バットはかなりの腕力がないと、速いスイングができない。しかしながらゴルフのクラブは、遠心力を利用することにより、誰にでもかなりの速さで振れるから始末が悪い。


 ドライヴァーはとりわけ遠心力を()かせられるから、威力絶大なのは言うまでもない。パターの類はより速い上に、()(がい)(こつ)に当たると陥没させられるから、場合によってはより危ない武器である。


 このためゴルフのクラブを武器に使用しそうな者を見かけたら、距離を常に保つことが重要になってくる。あるいは家族や友人知人が近くにいる場合は、(すみ)やかに戦えるだけの武器を手にしておきたい。


 相手が(なが)(もの)だと、中途半端の武器では対抗できない。そのあたりを計算に入れて、投げつけるものなど、飛び道具を含め検討しよう。


0281

マイ・ペッパー



 私のとっておきの秘密兵器は、フィルムケースに入れた「()(しよう)」である。これはワンタッチで相手に浴びせられるので、(ふた)が外れて散乱しない限り極めて便利だと言える。


 もし暴漢が出現したときは、蓋を外して相手に見えないよう構え、敵対すれば顔面に胡椒──ペッパーを、鼻の周辺にふりかける。これによって鼻の粘膜に付着、洗い流してもかなり(せき)こむなど影響が残る。


 ただし効果の続く時間には個人差が存在している。一瞬だけという者もいるから、相手がひるんだタイミングを狙い、完全に戦う能力を奪っておく必要がある。〓(かい)(ふく)し反撃に転じてくるためだ。


 このため膝周辺や(すね)、足首、更には股間を蹴り、人事()(せい)に追いこむのが望ましい。(ちゆう)(ちよ)が禁物なのは言うまでもない。


0282

屋外での襲撃者



 屋外での襲撃者は、精神に異常をきたした者であるケースが多いが、それ以外にも犯罪者が現場からの逃走の途中に、通行人に襲いかかることも皆無ではない。そうした状況下では、何しろ一つ大きく呼吸し、脳に酸素を送りこむ。


 視野を広く保っておいて、周辺に何か武器になる代物がないか、急いで探すとよい。命中したら威力のありそうな石を複数拾い上げて、これにより()(かく)を加える。遠くから投石してもまず命中しないから、至近に迫って攻撃の姿勢を示してゆく。威嚇しつつ遠ざかるのも一策だ。


 石を手にして戦う場合は、二個手にしていても、一個のつもりで第一撃を大切にする。決して投げ(あせ)ることなく、できる限り近接して投げつける。


 人命の危機が迫っているときは、早い段階で襲撃者に対して攻撃を加え、被害者を救わねばならないのである。



0283

金属バット対策



 木製バットを使用する機会が減少したことに伴い、犯罪と結びつくのは金属バットが(ほとん)どと言える。硬式用は九〇〇グラム前後と重いため、使いこなせる者が少ない。


 けれど問題は少年野球用の、全長が八〇~八五センチ以下で、重量八〇〇グラム以下のタイプだ。これならたいていの成人男子が、鋭い振りで打ちかかれる。短いなと思ったら、予想より速く自分のところに到達する、と覚悟しておいた方がよい。


 対抗策は棒状のものなら、しっかり握って軽く相手のバットに当て、打ってくる軌道を変える。バスタオルならスイングのスピードを遅くさせられる。小さいタオルならブラインドとして用い、投げつけた瞬間、自分の突入角度をスライドステップで変え、相手の腰から下にタックルを入れる。


 (もぐ)りこんだついでに、相手の股間を攻撃するのも悪くない。この戦法なら体力差を十二分に克服できる。


0284

目潰しの活用



 砂や土、はたまたベビーパウダーなどは、相手の次の行動を一瞬ひるませる、ということに関して効果的である。多くの人間は自分の目の前に予期せぬことが起ると、短時間だが避けようとするからだ。


 ただし一秒以内に反撃に転じる、というのが条件となる。それが全くなければ、()(つぶ)しの意味を持たない。


 いくら強力な棒状の武器を持っていても、構えを崩したところに突入されたら、バランスを保つことはまず不可能になる。体力のある者なら体当りを上半身に、体力のない者はそのまま膝のあたりへタックルを〓らわす。


 それに成功したら直ぐに(とど)めを加えねばならない。中途半端で手を緩めれば、相手の逆襲が開始されるから、躊躇せず主導権を保って攻撃を続行する。


0285

長物の攻撃を避けるには



 長さのある武器──長物は、間合いを保たれると面倒だ。そのため置かれた状況を素早く読み、臨機応変の対応が必要とされる。


 室内なら長さが邪魔になる反面、屋外だとそれが(きよう)()となってくる。下手に背を向けて逃げようものなら、追いかけられて一撃という危険性が高い。


 ただし逃げるように思わせ、最初の攻撃をかわしておいて、次も同じと勝手に思いこませる。一瞬身をかわすと見せ、そのまま体当りに入る。度胸を必要とするが、長物に対しての戦法は、それしかない。


 背中から着地すると負けになる柔道やレスリングの選手を除いては、下半身にタックルを受けた場合、後頭部から落ちる可能性が大きい。倒れたところにのしかかれば、上半身を捻ることができず、かなり高い確率で相手は頭部を打つだろう。


30 組みつかれたときのディフェンス


0286

背後からの羽交絞め



 女性が襲われる場合、背後からの()(がい)()めが圧倒的に多い。襲撃者は自分の顔を見せることなく、一方的に攻撃できるからだと考えられる。


 このとき相手の顔面が()ぐ近くにあったら、迷うことなく自分の後頭部を相手の鼻に叩きつける。多少の身長差があったとしても、やや重心を低くしているから、真後ろに一撃すればまず命中する。(あご)を突き上げるのも効果は大きい。


 ()(ごた)えがあって相手が離れたら、振向きざまに()(かん)を狙って()り上げる。不十分だったり股間を閉じていたら、(ひざ)(がしら)(すね)といった具合に蹴り続ける。


 そういった部分は、後頭部の攻撃が不成功に終わったとき、(かかと)で狙ってよい箇所である。踵の骨は歯を除くと人間の五体で一番硬い部位だから、耐えられる者は極めて少ない。


0287

臀部を利用しよう



 骨盤を中心とする(でん)()は、腰を使えるだけに有効な武器となる。羽交絞めに対する後頭部での攻撃が不首尾に終わったとき、相手の腹部はかなり前に出てきている。そこを狙って一撃を加え、相手の下半身を後退させる。


 適度の間隔を保てた瞬間、真後ろへと踵での蹴りを繰り出してゆく。左右交互に攻撃し、相手の下半身が大きく後退したら、一転して後頭部に攻撃を転じる。


 それが外れたとしても、まだ相手の膝頭や脛が射程内にあるから、後蹴りにと攻撃目標を変える。そうして振りほどいたら、前蹴りで下半身への攻めを加える。


 一発命中して相手が(まえ)(かが)みになったら、顔面に頭突きを入れれば、不意を()かれたダメージは大きい。相手の頭の位置が低ければ、テンプルや顎に膝蹴りという攻撃方法も()(いだ)せるだろう。



0288

背後から首を絞められたら



 (こう)(さつ)には二種あり、背後から二の腕で絞めてくるのが洋風、前から両手で絞めるのが和風、というのが一般的である。これは外国人と日本人という違いではない。


 実際のところ体力のある私は背後から絞めるから、人種による差異ではないようだ。ともかく背後からの攻撃の場合、相手が体力に優れると考えてよい。


 いきなり背後からきたら、ともかく相手の手首とは反対の側に(のど)(ぼとけ)を向け、しっかり絞められないようにする。その上で後蹴りと後頭部で顔面強打を加える、という戦法が有効になる。


 後蹴りは人間の骨の硬い部分──踵を用いるため、そこで膝頭や脛、あるいは足首を狙い、一時的に相手をひるませる。またあまり強くない骨──足の甲を踏んでも効果的だと言えよう。あとは肘打ちを鋭く一番下の(ろつ)(こつ)に当てたい。


0289

前から首を絞められたら



 一九五九年のBOAC航空(現・ブリティッシュ・エアウェイズ)のスチュワーデス殺害事件は、背後からの絞殺なので犯人は欧米人と直ぐに断定された。前から両手の絞殺は日本人のやり方だったのである。


 前からくる相手は接近の様子が見えるので、首に手が触れるまでに反撃ができる。前蹴りで股間や膝頭、それに脛へ短く速い蹴りで間合いをつくりたい。


 絞められ始めたら、相手の両手のあいだに自分の両手を入れ、そのまま思い切り開く。それで生じた空間を狙い、(ぜん)(がく)()で相手の鼻、顎へ一撃を加える。


 こうした額面への攻撃は、二度続けない方がよい。第二次攻撃は足を使用し、股間を蹴り上げたり、膝頭や脛をも狙う。首尾よくダメージを与えたら、平手で耳の()(まく)を強打し、更に別の箇所を攻め仕上げとしたい。


0290

身体の〓



 前から接近する相手は、油断していない限り、視認できる点が有利である。手が伸びてきた瞬間、反射的に動くことが可能だ。


 いったん()(そく)されると、女性や体力のない人間は大いに不利となる。だから何しろ自由を確保せねばならない。


 このとき重要になってくるのは、上半身の〓(かい)(てん)と下半身のフットワークだから、常日頃運動不足にならないようにしたい。つまりフットワークとウェーヴィング(上下左右に動き続けること)を利用し、壁面などに追いつめられるのを避ける。


 首を絞められかけたり絞められたとき、上半身の〓転がときとして決定的なものとなる。つまり攻撃を受けたら、相手に単純に正対するのは()(こつ)(ちよう)だ。


0291

肘の活用



 昔は女性に振られることを、「(ひじ)(てつ)(ぽう)〓()う」──すなわち「肘鉄」と表現した。大きなダメージを与える、威力ある一撃を意味したのだ。


 その言葉どおり肘は使い方一つで、実に有効な武器となるのである。とりわけ背後から組みつかれたとき、左右の一方の手が自由になったら、身体を後方に(ひね)りながら、肋骨の一番下を狙って打撃を加える。


 正対して()み合いになったときは、相手の顔面の一方の側に肘をぶつける。距離が近いとパンチを打っても意味がないから、近接戦闘用の武器と言える。


 タイボクシング──ムエタイでは、膝蹴りに次ぐ有効な技として、よく使用されるのは周知のとおりだ。(なぐ)ったり蹴ったりは予測がつくが、肘が飛んでくると誰しも意表を()かれる。



0292

膝の活用



 肘と同様、膝からの攻撃も相手の意表を衝き、命中の確率が高い。滅多にお目にかかれない戦法だからである。


 膝が有効な攻撃方法なのは、肘は位置が高いことで目立つのに対し、膝は低いため不意打ちとなる可能性が大だからだ。正対して組み合っているとき、相手の股間を鋭く蹴り上げれば、一発で大の男が(こん)(とう)してしまう。


 体力的に劣勢な側──女性や子供などの膝は、膝頭が小さいこともあり、すんなりと急所に命中しやすい。膝頭の大きな男性の場合は、下腹部全体を狙えばよい。その打撃で十分、ダウンさせることができる。


 首尾よく一発命中すると、相手は前屈みになって耐えようとする。そこで髪を(つか)んだり後頭部を押さえこみ、更に顔面へ膝蹴りを連続してゆく。

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