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競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略
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ビジネス
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監修者まえがき

『競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略』
[著]フレッド・クロフォード [著] ライアン・マシューズ [監修]星野佳路 [発行]イースト・プレス


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この本が私の教科書である2つの理由



 マーケティングの神様、フィリップ・コトラーが2000年代前半に来日した際、こう発言した。

「マーケティングの4Pを実践していますと誇らしげに言う人がいたので、『あれはもう古くて使いものにならない』と伝えたんだ。マーケティングを取り巻く環境が大きく変化する中で、新しく興味深いポジショニング理論が沢山生まれている。ファイブ・ウェイ・ポジショニングも注目すべき理論の一つだ」



 私は、すぐにその理論書を探し読んでみることにした。そしてそれは私に大きな影響を与えるものであった。


「コトラーが薦めた」


 この言葉だけでも「一読に値する」と読者に思わせる十分な惹句になるのだが、本書に入る前のイントロダクションとしてファイブ・ウェイ・ポジショニングが実践的で良いといえる理由を2つ、本理論の実践者として説明したい。



 第1は、コモディティ化という経営課題へのアプローチという側面だ。


 かつては、商品やサービスの機能や質が他社より優れていれば競争に勝てた。しかし今、機能上の差別化がますます難しくなってきている。私は出張先でよくレンタカーを利用するが、どの車に乗っても素晴らしくよく走る。レストランでは、“美味しい”ということが競争力になっていたが、今は美味しくないレストランを探す方が難しくなった。スーパーの棚に並んでいる洗剤はどれも同じくらい素晴らしく汚れを落とすものだから、私たちは洗浄機能以外の要素で洗剤を選んでいる。


 このように、商品やサービスにおいてメーカーごとの機能や質などの差が不明瞭化あるいは均質化することをコモディティ化といい、それはなぜ起こっているのだろうか。マイケル・E・ポーターが「生産性のフロンティア」という概念でこれを解説している。必要な経営ノウハウは今では誰にでも容易に手に入るようになり、どの会社もみな最適な生産性に達してしまう。これがコモディティ化を生み、かつては優位なポジションにいた誠実でまじめな経営者たちが「どうしていいのかわからない」と嘆く状況を生み出しているというのである。


 脱コモディティ化を説き、その方法を提示する書籍は多数存在するが、コモディティ化という経営課題への対処法を論じているケースが多い。一方で本書は、コモディティ化にそもそも陥っていない、埋没していない企業の事例研究から、その経営戦略の中に法則性を見い出している点が興味深い。


 分かりやすく言えば、風邪にかかった場合の対処療法を紹介するのが前者で、そもそも風邪にかからない健康体のつくり方を説くのが後者・本書であり、この点で本書が優れていると言えるのだ。



 第2は、多くのケースで、使用可能な経営資源は限られているという現実があり、本理論は経営における“選択と集中”へのアプローチを紹介している点だ。


 ファイブ・ウェイ・ポジショニングを説く本書では、経営に関わる要素として、価格・サービス・アクセス・経験価値・商品5つをあげ、さらにそのポジションをレベルⅠ(業界水準)・レベルⅡ(差別化)・レベルⅢ(市場支配)と区分している。見い出した法則とは、コモディティ化に陥らない企業は、5つの要素全てでレベルを高めようとはしていない、むしろ意図的にそうしないことが大切だということだ。


 消費者の要求に全て答えようとし、あらゆる面でレベルⅢにしようとする試みは、そもそも難しいしコストもかかり過ぎる。本書では、5つのうち1つでレベルⅢを、別の1つでレベルⅡを、残り3つで業界水準であるレベルⅠを維持することが最適と説いている。限られた資源で何を達成すれば持続可能な競争優位性を保てるのかを把握できるし、そのコンビネーションは数多く想定できるので、各企業の個性や強みを反映することが可能だ。


 経営者であれば誰もが直面する“資源の有限性”という困難に、「5つのうち3つは業界水準でいい」というメッセージはとてもポジティブで勇気づけられるものだ。



 2010年に刊行された『星野リゾートの教科書 サービスと利益両立の法則』[日経BP社]にて、私が経営をするうえで教科書としてきた書籍を30冊紹介した。その内、本書は邦訳が存在していなかった教科書であり、そういう意味で今回日本版が出版されることを大変

嬉しく感じている。


 読者の皆さんには、まずは第2章まで読み進めてほしい。本書の良さといえる理論とエッセンスが第2章目にまとまっているからだ。そして、そのエッセンスを理解したうえで、皆さん自身の教科書とするかどうかを決めてほしい。これは私の持論であるが、教科書になるかならないかは理論の内容とともに、今読者が抱えている経営課題の内容と深く関わっている。商品やサービスのコモディティ化という課題に直面した時、本理論は、教科書通りにやってみる価値が十分にあると私は考えている。


星野リゾート社長 星野佳路

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