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競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略
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ビジネス
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CHAPTER10 ファイブ・ウェイ・ポジショニングは未来にも通用するのか?

『競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略』
[著]フレッド・クロフォード [著] ライアン・マシューズ [監修]星野佳路 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:38分
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 ウィリアム・シャーデンが著書『予測ビジネスで儲ける人びと──すべての予測は予測はずれに終わる』[ダイヤモンド社]で指摘したように、予測というのは、世界で2番目に古い職業だという。ただし、最古の職業である売春ほど、モラルも、包容力も、社会的信用もなかったようだ。ではどうして、わざわざここで未来について語ろうとしているのだろう? それには、いくつか理由がある。


 第一に、いくら否定したくても、未来は、今の私たちが知っているものとは違うだろうし、その違いはおそらく、チャンスか脅威、もしくはそのどちらも運んでくるからだ。第二に、運がよければ、未来は必ずやってくるから。そして第三に、今日のめまぐるしく変わる世の中やビジネス環境において、これまで仕事で学んできた古いルールが、昔ほど役に立たないように思われるからだ。


 スカンジナビア諸国きっての総合広告代理店に数えられる、デンマークのクンデ・アンド・コーの共同創設者であるジェスパー・クンデは、著書『CORPORATE RELIGION〔未邦訳:企業という名の宗教〕』の中で、次のように語っている。

「国際的な企業が漏れなく抱えている問題は、売上予測に基づく予算管理が、今や建前だけの役に立たないメカニズムと化していること。面白いのは未来だけなのに、管理ツールの大半は、過去のもので使いものにならない。人々が真剣な面持ちで、こんなふうに言うのを耳にするようになった。『未来を予測するなんて意味がないよ』。だが、未来に対して何の考えも持たず、未来と関わる気もないとしたら、あなたはすでに負けているのである」


未来は予想できるか?



 今から2つの事例を通して、未来について考えることが提供してくれるチャンスと、そのチャンスがはらむ脅威とをお見せしたいと思う。


 自分が会社の戦略立案の担当者になった、と想像してみよう。会社がライバルをしのぎ、市場を支配するだけでなく、まったく新しい商品やサービスに手を広げたいからと、10カ年計画をあなたに託しているとする。



 まず、今が1957年だと想像してみよう。テレビのホームコメディ「陽気なネルソン」が、完ぺきなライフスタイルのシンボルだ。オジーとハリエットは郊外の家で、いたずらだけど素直な2人の子どもと幸せに暮らしている。近所に住む誰もがよく似た車に乗り、家族そろって食卓を囲み、キャンベル・スープを飲んでいる。どこの家も同じようなつくりで、誰もが同じ店で同じ商品を買う。そしてみんな、チャンネルが3つしかないテレビを観ている。


 では、ざっと10年早送りしよう。時は、ヒッピー・ムーブメントたけなわの1967年。かつてのいたずらっ子たちは、今やおおっぴらにドラッグをやり、権威ある大人たちを小ばかにし、人前でセックスをして、親があれほど共感していた企業に疑問を呈している。1967年という「未来」は、1957年の時点で、見えていただろうか? 答えは「イエス」でもあり「ノー」でもある。


 そう、未来につながるいくつかの要素は、すでに芽生えていた。テレビの影響も、ベビーブーム世代のホルモンも、花開く時期を待っていたのだから。公民権運動だって、1950年代にアメリカ南部で広がった抗議運動をベースに発展したものだったし、世界に目を向ければ、ほとんどのアメリカ人が地図で指せなかった東南アジアの国では、ホー・チ・ミンという名の自由の戦士が、母国をフランスから独立させるために戦っていた。


 だから、何らかのつながりを引き出して、推理することはできただろうし、「60年代」を予感させるような物語を書くこともできたかもしれない。だが、「これからは社会革命がビジネスのタネになりますよ」と企業に売り込める人間がいたかどうかは疑わしい。



 次は、現代の読者に、もっとなじみ深い例を挙げよう。インターネットと、インターネットがもたらしたとてつもない変革の話だ。


 今が1989年だと想像してみよう。人里離れた場所に優秀なビジネスマンが集まって、今後10年間に思いを馳せ、成功間違いなしのビジネス戦略を立案しようと頭をひねっている。


 コンピューターを相互接続した高度なシステムなら、1969年にアーパネット(米国国防総省の高等研究計画局開発のネットワーク)が、同省のコンピューターシステムを核攻撃から守る目的で、すでに開発されていた。フランスでは、1981年にミニテルが開発され、小型インターネットがすでに実用化されていた。作家たちも、1955年に『現象としての人間』[みすず書房]を著した神学者のピエール・テイヤール・ド・シャルダンをはじめ、1984年にSF小説『ニューロマンサー』[早川書房]を書いたウィリアム・ギブスンに至るまで、空想力を駆使して、世界をつなぐ通信ネットワークを思い描いていた。それを、「サイバースペース」と名づけたのが、ギブスンだった。


 だが実際のところ、デジタル市場が生まれたとき(フランスでミニテルが実用化されたときもそうだったが)、オンライン・ビジネスでどう稼げばいいか、はっきり自覚していた営利団体は、アダルト業界だけだった。驚くには値しないだろうが、1989年の仮想会議の出席者のほとんどが、インターネットも、WWWも、サイバースペースも、eコマースも、それとよく似たどんなアイデアも、10カ年計画に盛り込めはしなかっただろう。


 ところで、インターネットは何を変革したのだろう? むろん、ほぼすべてと言っていい。だが、1989年の時点で、未来──この場合は、わずか4年後の、ところどころでき上がっていた未来──を思い描くことができたのは、一握りのコンピューターの達人だけだった。あなたがその頃、その業界にいたとしても、そう肩を落とすことはない。何しろ達人中の達人であるビル・ゲイツでさえ、当初はチャンスを見逃したくらいなのだから。


 正直なところ、あとから振り返ってみても、点と線をつなぐのは、そう簡単ではない。たしかに、ベビーブーム世代のホルモンに経口避妊薬(ピル)の発明が重なって、フリーセックスのヒッピー文化を生んだと言えなくもないけれど、やはり心に留めておくべきだと思うのだ。銃と引き金を引く指があっても、大量殺(りく)の文化は生まれなかったということを。


 人々のばかげた未来予測を数え上げるときりがないのに、それでもなぜ未来について考えなくてはいけないのだろう?


未来の状況とファイブ・ウェイ・ポジショニング



 本書の冒頭でそれとなく伝えたように、ファイブ・ウェイ・ポジショニングの要素(価格、サービス、アクセス、商品、経験価値)は商売の歴史が始まって以来、変わっていないが、各要素の定義は、時代ごとにがらりと変わっている。さて、未来の予測は相当難しく、不可能なのだとしたら、今後オンライン、オフラインでどんな市場が登場するかわからない中で、5つの要素がずっと存在し続けるとなぜ言い切れるのだろう? あるいは、5つの要素の定義がどう変わっていくか、なぜ予想できるのだろう?

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