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(2021/11/26 追記)

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お江戸の職人(エリート) 素朴な大疑問 今に伝わる「技」から「粋」で「いなせ」な暮らしぶりまで
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雑学
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第3章 器をつくる

『お江戸の職人(エリート) 素朴な大疑問 今に伝わる「技」から「粋」で「いなせ」な暮らしぶりまで』
[著]中江克己 [発行]PHP研究所


読了目安時間:21分
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木地師 〓 椀や盆を鉋でつくる



 椀や盆など円い器を木材でつくる職人を「()()師」といった。木地というのは、塗りものの下地のことで、円い器をつくるには、(ろく)()を使う。


 円形の陶器をつくるときにも轆轤を用いるが、木工用の轆轤は「轆轤(がんな)」といい、二人の職人が一組となって操作する。まず一人が水平の回転軸を革紐を巻きつけて回転させる。


 革紐の両端には「てじり」と呼ばれる木の輪を結びつけておく。これを左右交互に引っぱると、軸が回転するのだ。


 軸の端に取りつけた鉄製の爪に、粗挽きした木地を固定させてあるから、軸の回転と同時に、木地も回転する。そこで、もう一人の職人が長い柄のついた鉋で木地をえぐり、削っていく。


 回転に合わせて、うまく鉋を当てなければ、きれいな形にならないので、二人の呼吸を合わせるのが大切だった。


 軸を回転させる革紐は、のちに(とう)(づる)や麻縄を使うようになった。しかし、それほど長い間使えるわけでもなく、二百個の椀を挽くと切れてしまったという。


 轆轤鉋は特殊な形だったうえ、粗木地用(用材をあらあら削ったもの)、中挽き用、仕上げ用、器の外側用、内側用と何種類も必要だった。このため、木地師は自分たちで()()をしてつくっていたようだ。したがって、木地師は鍛冶の仕事もこなさなければならなかった。


 ところで、当時の木地師は、皇子(これ)(たか)(しん)(のう)を祖先と仰ぐ独特な職能集団を形成していた。江戸や大坂など市街地に住む木地師もいたが、その多くは材料となる木を求め、山から山へ移住していた。日本全国の山々の八合目から上の木を切る許可と交通手形を与えられていたのだ。そのため一般人から弟子を取らず、結婚も木地師同士でのあいだで結ばれるのが一般的だった。


籠師 〓 竹の皮を器用に曲げて


「看板で事を納めぬ(かご)作り」


 竹や(とう)などでつくった籠や(ざる)は、江戸庶民にとって身近なものだった。よく使うものだから、長屋には籠づくりに励む職人もいた。看板代わりに、籠を軒先に吊るしていたから、それとすぐにわかった。


 親方から仕事を受けるというよりは、客からの注文を受けてつくることが多かったようだ。なかには作り溜めておき、自分で売りに出かける者もいた。


 よく使われたのは真竹、孟宗竹、女竹などの竹。籐蔓よりも入手しやすく、仕上がりが均一になるからだった。


 切ってきた竹は煮沸したのち、天日で干して油抜きをする。よく乾燥したものを粗く割り、用途別に小刀で削りながら幅と厚みを揃え、編みやすくしておく。竹は堅く、曲げにくい。しかも繊維が鋭かったので、生傷が絶えない仕事だった。


 たとえば、細くて長い竹を小刀で割ったり、削ったりするときは、一方を口でくわえ、調子を取りながら(ゆが)みのないように二つに割っていく。微妙な呼吸と勢いが必要のようだ。


 籠づくりの最大のポイントは、竹を割り、肉を削り取って皮だけにする作業。これを「ひごづくり」というが、籠づくりの手間の大半を食う。


 むろん、同じ真竹でも、一本一本少しずつ性質が異なるから、はねる力が強く編みにくいものもある。それをなだめすかしながら、竹の性質を見て編み進めるのが職人の腕である。


 籠は底から編みはじめる。底から胴への立ち上がりをきれいに仕上げることができるかどうかで、出来栄えに大きな差が出る。もっとも、形のないところから形にしていくのだからたいへんだ。すべて長年の勘だけで、まるで機械のように手を動かし、指を動かして編み上げていく。胴から口へ編み上げ、縁の始末をすれば完成だ。


 編み方は四ツ目、六ツ目、八ツ目、()(じろ)編み、笊編み、籠目編み、牡丹編み、波形編み、鎖編みなど技法が多い。

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