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名所・旧跡から食文化・風習まで 一見さんのための京都の流儀
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旅行
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第一章 京都を知るにはまず祭から

『名所・旧跡から食文化・風習まで 一見さんのための京都の流儀』
[編]京都しあわせ倶楽部 [発行]PHP研究所


読了目安時間:36分
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〓()(おん)(まつり)

一カ月の間に何を見るか? 



 京都の三大祭の一つであるだけでなく、日本の三大祭の一つでもある〓園祭。八六九((じょう)(がん)十一)年、疫病の大流行を(はら)うために()(りょう)()をしたのが始まりとされる、京都の中でも古い歴史を持つ祭りである。


 〓園祭は七月一日の「(きっ)()(いり)」から三十一日の(えき)(じん)(じゃ)()(ごし)(さい)まで、一カ月間続く夏の一大イベントでもある。期間も長ければ、行なわれるエリアも東は東大路から西はほぼ堀川通まで、北はほぼ()(いけ)通から松原通(五条通の二本北の通り)までと広い。


 どこで何を見ても心を奪われるものに出会える祭だが、すべてを見るには期間もエリアも広すぎて回るだけで手いっぱいになってしまう。それよりも見どころを絞り込んで見るほうが、〓園祭の思い出を鮮やかなものにしてくれるだろう。


 〓園祭についてはそれだけで一冊のガイドブックが書けるくらいなので詳しいことはそうした本に譲り、ここでは個人的におすすめするポイントを挙げていこう。


 たとえば七月に入ってから(ほこ)が建つまでの間なら、夜八時頃に山や鉾が建つ「(ほこ)(ちょう)」のエリアを散歩してほしい。(ちょう)(ちん)のさがった「(かい)(しょ)」(町内の寄合所)から漏れ聞こえてくるお(はや)()を聞くことができる(これを「二階囃子」という)。


 (よい)(やま)の時は人混みも多く、じっくりとどまって聞くことが難しいお囃子も、鉾が建つ前ならば静かに楽しめる。何度も繰り返される練習を聞いていると、同じように聞こえていた旋律が鉾ごとに違うのも聞き分けられるようになってくる。


 十日を過ぎれば、(なぎ)(なた)(ほこ)(きく)(すい)(ほこ)などの(ほこ)()てが始まる。釘を使わずに巨大な鉾が組み上がっていく様は見ていてあきない。鉾のシンボルでもある「(しん)()」も含めて高さ二十五メートルにもなる鉾を縄を使って引き起こす様などは壮観である。


 十二、十三日頃には鉾の試し()きである「()()め」が行なわれる。町内の人間でなくても参加することができるので、出会えたならぜひ参加してみたい。




 〓園祭といえば、二〇一四年に大きな変化があった。(あと)(まつり)の復活である。


 そもそも〓園祭は神輿(みこし)()(ぎょ)に伴う「(さき)(まつり)」と、神輿の還幸に伴う「後祭」に分かれていたが、一九六六(昭和四十一)年に鉾の巡行は前祭の日にすべて行なわれることになってしまった。これを元の祭本来の形に戻したのだ。


 合わせて、一八六四((げん)()元)年の(はまぐり)()(もん)の変に端を発する大火で本体などを焼失して以来「(やす)(やま)」となっていた「(おお)(ふね)(ほこ)」も百五十年ぶりに巡行への復帰を果たした。


 祭が前後に分かれたことで不満の声もないではないようだが、それぞれの都合や好みに合わせ、異なった楽しみ方ができる。


 誤解を恐れずにざっくりというなら、(にぎ)やかさ、華やかさを味わいたいなら前祭へ、じっくり静かに楽しみたいなら後祭へ行くのをおすすめする。


 鉾の巡行に先立つ三日間が「宵山」とされ、それぞれの駒形提灯に灯が入り、ちまきやお守り、手ぬぐいなどのオリジナルグッズの販売やお囃子の演奏がなされる。周囲の商店も露店を出したり特売をしたりと、町全体が最も盛り上がる期間だ。


 前祭の巡行は十七日で、前二日の十五日、十六日には四条通や(からす)()通なども通行止めとなり露店も多く並び、まさに“祭”の賑わいを呈する。前祭で巡行する山鉾は二十三基もあるので、それぞれ異なる美しさを堪能できる。


 ただし、露店の数を減らしたり、歩行者の流れを一方通行にするなど年々工夫はされているが、それでも大変な混雑ぶりなのが難点。


 一方、後祭の巡行は一週間後の二十四日。宵山の期間中、通行止めや露店が出ることはなく、盛り上がりに欠けるといわれることもあるが、そうともいえない。十基の鉾が建つエリアは集中しているのですべてを回りきることができるし、露店商はいないが、町内の商店が露店を出しているので、落ち着きはありながらも祭ならではの風情を楽しむことができる。




 また、どちらの宵山も、あえて「宵」を避けて回るという楽しみ方もある。


 午後にもなれば〓(びょう)()などを飾る家の準備もととのい、普段は小売りをしない呉服関係のお店などが軒先に商品を並べ始める。人通りが少ない分、鉾をゆっくり眺められるし、会所のご神体や()(そう)(ひん)もじっくり見ることができる。


 ちなみに宵山で売られている「ちまき」は(やく)()けとして玄関に飾るものであり、お菓子は入っていないので〓()かないこと。祭の先陣を切る長刀鉾のほか、その年の「くじ一番」を引き当てた山鉾のちまきも人気が高く、早くなくなりやすい。ちまきやオリジナルグッズは見かけた時に買っておいたほうが安心だ。



 巡行当日は、早朝から場所取りを狙うのもいいけれど、鉾町をそぞろ歩くのをおすすめしたい。前日までは会所で展示されていた懸装品などがすべて飾りつけされ、ご神体も移動し、完全な鉾や山の姿をじっくり眺められるチャンスだ。(かみしも)を着たご老人や、(すげ)(がさ)(きゃ)(はん)を巻いた学生などが、最後の準備に余念がない。昨日までは気軽に近づいて記念撮影ができたけれども、もはや祭は完全に「町のもの」となっていて、こちらを寄せつけない。


 巡行では長刀鉾()()()()(なわ)切りが最も脚光を浴びるが、「くじ改め」にも注目してほしい。

「くじ取らず」とされるいくつかの山鉾以外は毎年くじでその順番を決めるのだが、その順番通りに巡行しているかを確かめるのが、四条堺町の()(たび)(しょ)前で行なわれる「くじ改め」(後祭は寺町御池)。かつて、鉾の先陣争いが絶えなかったことから行なわれるようになった風習だ。




 関所で巡行順のくじ(ふだ)が入った()(ばこ)を開き、奉行役の京都市長に確認してもらうのだ。箱にかけられた(ひも)(せん)()のひとさばきでほどき、(ふた)をはずして中身を(ささ)げ見せる一連の動作が美しい。


 くじを改めてもらったあとは、また扇子だけを使ってきれいに紐をかけ直す。

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