齋藤 孝
生きていくうえで大切だと思うことを、子どもたちに向かってはっきりと、言葉にして強く言う。子どもたちにとって少し耳が痛いことも、ガツンとはっきり言う。
これは親の仕事であり、大人全体の責任だと思っています。かつての日本には、他人の子どもでも大人がしっかりと説教をするという空気がありました。それが、近年は、自分の子どもにさえも「ガツンと一発」ものが言えなくなってきました。これは大問題です。
子どもは、社会がどういうものなのかを知りません。世の中にどれほどいいものがたくさんあるのかも、まだ知りません。どういう心構えでいれば人生を充実させることができるのかも知りません。知らないことばかりです。大人は遠慮せずに、子どもたちに大切なことを伝えていくべきだと、私は思います。
いまは、この本の全部がわからなくてもいい。中学生や高校生になって、この本の背表紙が並んでいるのを見て、「ああ、あれはこういうことだったのか」と気づく場面があってもいいわけです。
生き生きと、強く生きていく。そのために、言葉は支えになります。この「ガツンと一発」シリーズの言葉が、子どもたちを勇気づけ、タフにしていくことを願っています。