◎体は道具だ、手入れが命!
まずキミたちに覚えてもらいたい言葉がある。
それは「コンディショニング」です。
これは、“コンディション”という英語の言葉の変化した形。“コンディション”というのは「状態」という意味ですから、“コンディショニング”というのは、状態を調えておく、というような意味です。
この調えるという字が、整理整頓の「整」の字じゃなくて、調子の「調」の字を書くことに注目すべし。調子よくしておくってことなんです。
「心・技・体」の「体」は、必ずしも「立派な体になりなさい」ということを意味しません。むしろ、「自分にとって調子のよい体でいなさい」ということなんだと僕は思う。
これを胸に刻んでおいてほしい。なぜなら、コンディションが悪いと、力を発揮できません。人間の性能がアッというほど落ちます。そうすると、これまでのすべての苦労が水の泡。
いくらとぎすまされた「心」と、他人にはない「技」を持っていたとしても、「体」の調子がダメなら意味なし!
そしてね、これは大切な事実なんだけど、心と技はいったん手に入れたらそんなに変わらないのだけれど、体だけは、日によって、時期によって、大きく変わってしまうんですな。
だから、いい状態をキープするのが、三つのなかで一番むずかしいとも言える。ちょっと意外でしょ?
野球のバッターの三冠で言えば、心が「打点」、技が「本塁打」で、体が「打率」みたいなもんだ。打率は上がったり下がったりする。
ある程度実力がついた人は、みんながみんな、あとは体を調えることに気を遣うようになりますね。
ようするに、体さえ調子のいい状態に持っていければ、なんとかなるんですよ。ある程度技を持っている人にとっては、体が不調であると、その技がほとんど使えなくなっちゃうっていう現実があるんですね。
体は道具なんです。だから手入れが大事。それを英語ではメンテナンスと言います。
同じ靴を、十年経ってもピカピカの状態で履いてる人っているんですよ。それはそれは、手入れがよく行き届いているんです。週に一度、クリームを塗ると、革も生き物だから、やっぱり生き返るんだって。脱ぐときは、ちゃんと靴のヒモを弛めてからソロッと脱ぐ。
そういうことをきちんとやっていると長持ちしますし、いつでも調子のいい状態が維持されるんです。
僕なんか、きつく縛ったまんま、踏みつぶして履いていたおかげで、イイ靴でも一か月でボロッかすにしてしまっていました(笑)。