『子どものための偉人伝 福沢諭吉』
[著]北康利
[発行]PHP研究所
欧米に比べると文化の発達が遅れていたアジア諸国は次々に植民地となり、ベトナムはフランスの、インドネシアはオランダの、ビルマ、マレーシア、香港、オーストラリアはイギリスの支配下にありました。
何とか日本は諭吉の努力もあって植民地になることだけは免れたわけですが、いち早く文明開化をなしとげたわが国が、周囲のアジアの国々の教師役になるべきだと諭吉は考えました。わが国で初めて朝鮮人(現在の韓国と北朝鮮の人々)留学生を受け入れたのもそうしたことからでした。
諭吉はある朝鮮人愛国者との出会いをきっかけとして、朝鮮の「自主独立」に協力することとなります。その朝鮮人愛国者の名は金玉均。諭吉の十六歳年下で、たいへん優秀な人物でした。
当時の朝鮮は隣国・清(現在の中国)に従っていましたが、その清自体も欧米の前になすすべなく、香港をイギリスの植民地とされ、中国本土さえ支配されそうな状態でした。