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歴史のねむる里へ
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旅行
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京都 古典文学に描かれた町

『歴史のねむる里へ』
[著]永井路子 [発行]PHP研究所


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清少納言も歩いた道



 京都は町そのものが、ひとつの古典である。その中から限られたいくつかを選び出すことのむずかしさに何度かとほうにくれながら、比較的訪れやすく、また、有名な古典に登場するところだけをひろってみた。

《洛中=清水あたり》


 観光バスが必ず訪れる清水寺──その雑踏はいささか俗悪でもあるが、それはまたこの寺の観音信仰の根づよさの証拠でもある。ひそかな悩みや願いを抱いて、昔からこの霊場に多くの人がやってきた。平安時代の才女、(せい)(しよう)()(ごん)もそのひとりである。

清水に籠りたるころ、ひぐらしのいみじう鳴くを、あはれと聞くに、わざと御使してのたまはせたりし、(中略)


 山ちかきいりあひの鐘のこゑごとに恋ふる心のかずは知るらむ」


 清少納言の清水参籠の長いのを気づかって、彼女の仕える(ちゆう)(ぐう)(后)(てい)()がわざわざ歌をくださったことを、『(まくらの)(そう)()』ではこんなふうに書いている。東山の中腹、深い木立にかこまれたこの寺で、清少納言は何を願い、どんな思いでひぐらしを聞いていたのだろうか。この寺の建築は、いわゆる「清水の舞台」として有名だ。というよりも「清水の舞台から飛びおりる」ということわざのほうが有名な感じである。『(こん)(じやく)(もの)(がたり)』には、実際にここから谷に飛びおりた話がある。


 ()()()使()の忠明というものが、清水で多勢の(きよう)(わらべ)とけんかした。今でいえば、警官が愚連隊にとりかこまれたという趣である。追いつめられた忠明は、意を決してその場にあった(しとみ)()を両脇にかかえて谷に飛びおりた。


 するとうまいぐあいに戸が風にあおられて、落下傘の役目をし、忠明はふうわりと無事に谷におりたった。これも忠明が「観世音助け給え」と念じたための御利益だと、『今昔』は語っている。


 清水から西大谷にゆく途中の(とり)()()は平安朝のころの墓地だった。「鳥辺野の煙」といえば、死体を焼く煙──はかないものの表徴だった。『今昔』には生きながら鳥辺野に棄てられたあわれな女の話などものっている。

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