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歴史のねむる里へ
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旅行
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文庫版へのあとがき

『歴史のねむる里へ』
[著]永井路子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:2分
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 鎌倉の八幡宮への参道は、いつも人通りが絶えない。この地に住んでいる私も、なにかにつけてそこを通ることが多いのだが、ときには、ふっと感じることがある。


 ──そうだ、この道は、頼朝も政子も歩いているのだ……


 道のたたずまいも少し変っているし、その足跡が残っているはずはないのだが、その、かたちもない足跡を、思わず探したくなったりする。


 旅に出て、美しい景色に眼を奪われているのも好きだが、歴史ものを書いていると、つい、その昔あたりを往き来したであろう人々のさまざまな生涯を思いうかべてしまうことが多い。


 そんな思いをまとめた『歴史のねむる里へ』をPHP研究所から出版していただいてすでに五年経ってしまった。文芸評論家の磯貝勝太郎氏のおすすめでまとめたこの一冊には、私にとっては、なつかしい、さまざまの思い出がこめられているが、文庫化にあたって読みかえしてみて、この小さな一冊にも、歳月がふりつもっていることを改めて感じさせられた。


 たとえば、「近江観音寺城をゆく」の中で、観音寺城を案内してくださった田中政三氏はすでに鬼籍に入られた。が、情熱をこめて観音寺城について語られ、私を励まして頂上まで連れていってくださったあの日のお姿は今も忘れられない。歴史はこれを愛し、みつめようとする人の前にだけ姿を現わす──その日の私の思いを読みとっていただければ幸である。


 ここにかぎらず、読んでくださって、「おや私もそう思った」とか、「ほう、こういう考え方もあるのか」などと思っていただけたら、とてもうれしい。大和も京都も鎌倉も、旅する機会の多いところだし、ハンディなサイズに変って、それぞれの方々の旅を楽しくするお手伝いができたらこの上ない幸である。


 もっとも歳月を隔てて、たたずまいの変ったところもあるが、それなりの移ろいを感じていただくことにし、加筆、訂正は最少限にとどめ、やむを得ないところにだけ追記を加えた。


 なお、本文中に引用した古典の原文は『日本古典文学大系』(岩波書店)『日本古典文学全集』(小学館)を使わせていただいたことを付記し、紙上お礼を申しあげたい。


永井路子 

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