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お江戸の武士の意外な生活事情 衣食住から趣味・仕事まで
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雑学
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はじめに

『お江戸の武士の意外な生活事情 衣食住から趣味・仕事まで』
[著]中江克己 [発行]PHP研究所


読了目安時間:3分
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 江戸の生活事情といえば、裏長屋に住む行商人や職人など、庶民の姿を思い浮かべる人が多いかもしれない。だれもが豊かさとはかかわりなく、その日暮らし。それなのに隣近所が助け合い、まるで一つの家族のように和気あいあいと暮らしていた。


 じつをいうと、四年ほど前、同じPHP文庫から『お江戸の意外な生活事情』と題する本を出してもらった。そのなかでは、世界有数の大都市となったお江戸に住む庶民たちの衣食住や仕事、遊びなど、活気に満ちた暮らしぶりを紹介した。おかげさまで多くの読者から共感をいただき、いまも売れつづけているが、本書はその「武士編」として書き下ろしたものだ。


 なにしろ、江戸の人口の半分を占めていたのが武士だし、テレビドラマや映画、時代小説などで、お江戸の武士にふれる機会があって、身近な存在と感じる人もいるだろう。しかし、時代に隔たりがあり、理解しがたいことも少なくない。


 江戸時代は身分社会で、武士と町人とはきびしく区別されていた。住居や衣服、髪形、言葉づかいなど、さまざまな点で異なる。とはいえ、江戸時代は太平の世がつづき、もはや戦国時代のような合戦もなければ、下剋上の争いもない。だから武士らしく生きるといっても、じつにむずかしい状況だった。江戸後期には、とくに生活事情の点で武士の町人化という傾向も出てきたほどだ。


 江戸の武士は、いまのサラリーマンと比較されることが多い。それはどちらも給与生活者という点で共通しているからだが、決定的に異なるのは、武士の場合は個人にたいしてではなく、家にたいする禄(給与)であり、「主家への武功忠勤にたいする報酬」と考えられていたことだ。それに、なんらかの役に就任すれば役料がつくものの、基本的に昇給はない。だから諸物価が高騰すれば、暮らしはしだいに苦しくなっていく。


 食べ物にしても、庶民とはいろいろな点でちがっていた。将軍の食卓には毎朝、キスが出たし、江戸城詰の武士は弁当を持参した。むろん、庶民でも大工など弁当持参のこともあるから、弁当そのものはどうということはない。だが、なかには酒を持ち込み、上役に振舞って御機嫌をとる者がいた。幕府にとってもにがにがしいことだったらしく、自粛を命じたほどだった。


 江戸後期には高級料亭が増えたが、その大のお得意は大名や諸藩の江戸留守居役たち。彼らは公金を使って高級料亭で歓談したり、交渉事を進めたりした。交際費を使ういまの重役たちと変わりがない。


 そうした一方、地方から赴任してきた(きん)(ばん)(ざむらい)は「()()(わずら)い」という奇病にかかる。これは(かつ)()のことだが、白米を常食した結果の病気で、国元へ帰るとすぐに治った。しかし、当時の人びとには原因がわからず、「やがては苦悶して死ぬ病」といって恐れた。


 いずれにせよ、庶民とは異なる特殊な制度のなかで生きる武士には、それなりの苦労があった。それに武士の生活といっても、将軍から下級武士まで決して同じではない。本書では、意外に知られていない逸話を集め、武士の生活事情を描いてみた。楽しみながら江戸への興味をさらに深めていただければ、著者としてはうれしい。



 平成十七年五月三日

中江克己 

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