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禅語事典 より良き人生への二百五十のことば
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生き方・教養
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はじめに

『禅語事典 より良き人生への二百五十のことば』
[著]平田精耕 [発行]PHP研究所


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 禅は古来、「()(りゆう)(もん)()(きよう)()(べつ)(でん)」を旗印とする、中国で起こった実践を中心とする仏教の一派である。不立文字とは文字を立てないということであり、教外別伝の教とはインドから伝わった膨大な冊数を持つ経典のことである。経典は釈尊の説いた言句すなわち仏説の記録である。


 教外とは、したがって経典以外ということである。別伝とは真の釈尊の教えの内容は経典言句以外のところで伝えられるものだという主張である。しかるに禅仏教は古来、大部の禅録を有し、多くの言句を擁する。これはなぜであろうか。「不立文字」の主張はすでに仏説を記録する経典自身の中で語られるものである。たとえば大乗入(りよう)()経などの中で見られる「一字不説」の思想である。釈迦は四十九年間、滅を示すまでに横に説き(たて)に説いておきながら、自らは一字も説かなかったといわれたと記されている。それは、「説かなかった」というよりは一真実を限りある人間のことばでは「説けなかった」という意味である。説けないからこそ、ああも説きこうも説いたと解するべきであろう。中国の禅仏教はまさにその思想の直系の子孫である。



 中国の禅者たちは、自らが体験した悟境をいろいろに説こうとしてさまざまな言句を用いた。禅僧たちの用いたことばは、従来からインドにあった仏教の用語のみならず、儒教、道教、易の言句から唐、宋の詩までひっくるめてこれらを使用した。ついにはことばだけでは足りずに眉をしかめたり、杖で打ったり、大声で喝とどなったりしながら自らの悟境を弟子たちに示そうとした。


 ことばの持つ両刃の剣にも似た、時には悟境をぎりぎりのところで伝えるか、あるいは逆に悟りの妨げにすらなることばの効用性と悪魔性を知悉している彼らの吐く言句は、寸鉄人を刺す、きわめて明瞭できわめて簡潔である。これらを禅語と称し、日本ではこれらのことばが千利休以後好んで茶室の床の間にかけられ、わびすきの茶道に一段と光彩を添えるようにもなった。ここに一般の人々の要求に応じてそれら多くの禅語のうちごく一部の有名な禅語を集め、それの解説と小衲の拙話を付した。現代人の心の世界に何ほどかお役にたつことがあれば望外の幸せである。



   昭和六十三年七月夏末摂心中


        洛西嵯峨天龍寺僧堂にて誌す

平田精耕 

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