『長男・長女をのびのび育てる本』
[著]平井信義
[発行]PHP研究所
「思いやり」の育っていない子がいじめっ子になる
子どもが幼稚園などから帰ってきて、黙っていたり、元気がないと、まず病気ではないかと考えます。ひたいに手を当てて病気でないことを確認すると、次に「もしかしていじめにあったのでは」と心配するのが、近ごろのお母さんではないでしょうか。
また逆に、きょうだいゲンカが絶えなくて、いつも「うちの子は乱暴だから」と思っているお母さんは、もしかしていじめっ子になるのではないかしらと、心配しているかもしれません。マスコミを通じて報道されるいじめはどこか陰湿で、心痛むものがあります。
とくに最近は、アトピー性湿疹のため、肌がきたないという理由でいじめられるというようなことまで起きています。
そこで、いじめについて、どのように考えたらいいのか、次に、親の養育態度はどうあるべきか、親には問題がないのかといったことについて、考えてみます。
これは、小学生を対象として行なっていた夏季合宿での出来事です。この合宿は子どもに「自由」を与えて、どのように「自発性」が発達しているか、どのように「思いやり(共感性)」が発達しているかを観察するのが一つの目的になっていました。
ですから、第一に、子どもに日課を示していません。何時に起きてもいいし、何時に寝てもいいのです。大人たちが命令をして子どもたちに何かをさせるということは一切ありません。
第二に、活動のメニューはつくってあり、その準備もしてあるのですが、それに参加するかどうかは子どもの「自由」です。