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第一子を伸びる子に育てる本 思いやりと個性をはぐくむお母さん
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子どもの情緒の安定のためにできること

『第一子を伸びる子に育てる本 思いやりと個性をはぐくむお母さん』
[著]平井信義 [発行]PHP研究所


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あなたの頭に(つの)はないでしょうか?



 さて、お母さん、あなたはお子さんにとって慈母でしょうか。慈母とは、そのひざの上にのっていると心が落ちつき、そばにいるとほのぼのと温かさを感ずる──という子どものお母さんです。


 ある保育所でのことですが、母の日のために、お母さんの顔を子どもたちに描いてもらったところ、頭に角をつけた子どもがいました。小学校の先生からも同じ話を聞きました。これでは、鬼母です。子どもの顔を見ればガミガミ言うお母さん。


 このようなお母さんのそばにいくと、子どもの心は落ちつかなくなりますし、ついには心が母親から離れていってしまうでしょう。そうなれば、思春期以後になると、家庭を離れて非行集団の仲間に入ってしまうかも知れません。非行に走った子どもの中には、幼いころに、お母さんの温かさを味わうことができなかった子どもが多くいるのです。


 お母さんの温かさは、子どもの年齢が低ければ低いほど、肌で感じ取ります。いわゆるスキンシップです。母乳を与えるのも、その意味で大切です。生後六~八カ月になると、目の働きの発達とともに、「人見知り」が始まります。親しいお母さんと見なれぬ人とを見分けて、お母さんにすがりつくのが「人見知り」です。「人見知り」が現れてこそ、お母さんと子どもの関係が順調に発達していることを意味します。その意味で、「人見知り」の現れない子どもは母子関係が十分に育っていないのです。抱っこをしたりいっしょに遊んだりして、お母さんにすがりつく子どもに変える必要があります。


 ところが、最近、赤ちゃんを寝かせっ放しにして、抱っこをしたりあやしたりしないお母さんがふえています。その結果、子どもがおとなしく寝ていたり、ひとり遊びをしています。お母さんにとっては世話の焼けないよい子のように見えますが、母子関係を通じて発達する情緒は、未成熟のままです。表情も、いわゆるポーカーフェイス、つまり、表情に喜怒哀楽が現れないのです。「おとなしい」子どもの中に、このような子どもがいます。早く救わないと、友だちとの関係もできず、思春期以後になって突然、世間を騒がすような出来事を起こす子どもになることさえもあります。


 母子関係が最も緊密になるのは、一歳半から二歳半の間、とくに二歳前後です。お母さんの後追いがさかんになります。何かにつけて「ママでなくてはいや!」と強情を張るようになります。夜中に添い寝を求めて、お母さんの布団の中に入り込んでもくるでしょう。このような姿が現れてこそ、子どもの情緒の発達が順調に行われていることを意味します。


 もし、このころに、お母さんを慕わないという子どもがいれば、心配です。独立心のある子どものように見えますが、にせの独立心であり、情緒は抑圧されているのです。独立しているように見える子どもは、お母さんにとっては世話の焼けない子なので、「よい子」のように見えますが、実は「危険な子」です。近頃、保育所にいる一~三歳の子どもにそのような子どもが目立っています。すぐお母さんから離れて保育所の中で活発に遊びますので、保母さんも「よい子」のように思うかも知れませんが、お母さんと心の通い合いがよくできていないことの現れです。


「肌の触れ合い」が優しい子を育てる



 お母さんとの間の肌の触れ合いの少なかった子どもは、幼稚園や保育所の先生がひざにのせたりしますと、しつこく先生の肌を求めます。私たちの学童を対象とした夏季合宿でも、私たちのひざの上にのりきりになる子どもがいます。このような子どもの生活史を検討してみますと、赤ちゃんのころからの肌の触れ合いが非常に少ないのです。そのことがはっきりしたならば、年齢を問わず、何らかの形でお母さんとの肌の触れ合いを実現してもらいます。添い寝も、その大切な方法です。一時はお母さんにぴったりくっつくという状態になりますが、それだけ過去に肌の触れ合いが足りなかったのです。


 そのように甘やかしていたのでは、甘えん坊になってしまわないか──という心配が生ずるかも知れません。それを防ぐには、自発性の発達をうながすことが大切で、その点については、次章でお話しします。自発性や独立心も、肌の触れ合いを通じて、母子間の温かい情緒的な関係に支えられていませんと、冷たい行動になって現れます。冷たい心の持ち主は、思春期以後になって、異常な行動を現すことがあるのです。両親、とくにお母さんに乱暴を働くことがありますし、お母さんの肌を求めてすり寄ってきたり、お母さんの布団の中にもぐり込んでくることさえもあり、誤って、精神病にされている子どもさえもいるほどです。私たちは、思春期以後の子どもであっても、何らかの形で肌の触れ合いを実現してもらうようにしています。それをくり返すことによって、不安定だった情緒が落ちついてきて、異常な行動も消えるからです。しかし、それには年月がかかり、非常に強い忍耐力が必要となります。ですから、早くから肌の触れ合いの不足を見つけて、小学校低学年のころまでにそれを補っておいてほしいし、赤ちゃんのころから順序よく肌で可愛がることをしていれば、問題は起きないというわけです。


 とくに注意する必要のある年齢は、二歳前後です。このころに、下に子どもが生まれたとか、開業、開店などで手をかけてあげることができず、子どもとの肌の触れ合いが実現できなかった──というときに、母子間の情緒的な関係のうすい子どもができます。


 幼児は、お母さんのひざの上にのることが好きです。疲れたとき、ねむくなったときのほかに、何かの不安が心にあると、ひざの上にのろうとするでしょう。ひざの上にのっていると、不安がとれてくるからです。


 学童期になっても、疲れたときとか不安のあるときに、子どもは、お母さんにもたれかかってくるものです。このときには、肩を寄せてあげることが大切です。ところが、多くのお母さんが、「重いわよ」「暑いわよ」と邪険に扱っています。また、低学年の子どもは、お母さんの乳房に触れようとします。すると、お母さんの中には「エッチ」なことと思い誤って叱る人がいますが、子どもにはそのような気持はないのです。お母さんのシンボルに郷愁を抱いているのですから、さわらせてあげてください。


 もう一度、「慈母」という言葉を思い出してください。お母さんは、子どもの人格形成にとってかけがえのない存在ともいえましょう。お母さんのそばにいて温かさを感ずると、子どもの心はなごみます。情緒が安定するのです。その点で、鬼母になっていないかどうか、反省してみてください。そして、「慈母」になる努力をしてください。

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